【巨人】優良助っ人・ヘルナンデス 一軍昇格時の「懐疑的な声」をはね返した〝修正力〟
巨人が3日の中日戦(前橋)に6―1で大勝し、貯金を「1」とした。打のヒーローは「3番・中堅」で先発出場したエリエ・ヘルナンデス外野手(29)だ。今季途中加入ながら3回に放った5号3ランが決勝弾。今でこそ中軸を担う巧打者としてチームに不可欠な存在となっているが、来日当初は下馬評も低く〝うれしい誤算〟もあった。 超満員となった球場に大歓声を響かせた。両チーム無得点で迎えた3回二死一、三塁で迎えた第2打席。相手先発・涌井が投じた3球目の146キロ直球を完璧に捉えると、打球は左翼席へ一直線。この日が地元凱旋登板となった先発の井上に序盤から援護点をプレゼントし、その左腕は8回無失点の好投で3勝目を手にした。 ヘルナンデスは「1打席目で空振り三振してしまったが、その反省からバットをちょっと長く持って対応した結果、2打席目で結果を出せたので良かった」と振り返れば、阿部監督も「本当にチームが楽になった3点だったんでね。すごい貴重な1本だなと思います」と絶賛した。 開幕から苦戦が続いた打線にテコ入れするべく、球団は5月上旬にヘルナンデスを緊急補強。シーズン途中の加入ながら同月末には一軍に昇格させ、交流戦ではチームトップの打率3割4分2厘、安打数は12球団2位タイの25本を記録するなど驚異的な適応力を見せた。 この日の試合で14試合連続安打と蒸し暑い時期でも好調をキープ。もはや欠かせない戦力となっているが、一軍昇格時には意外にも活躍に懐疑的な声も出ていた。 あるチーム関係者は「ヘルナンデスは二軍で調整していた際、日本の投手相手に当然不慣れな部分もあって、明らかに苦手とする球種やコースが存在していました。指導の余地はまだまだあっただけに『もう少し二軍戦で慣らしてから昇格してもいいのでは?』との声も出ていたほどでした」と回顧する。 ただ、貧打解消と上位進出のためチームには一刻の猶予もなく、新助っ人は〝スピード昇格〟を果たした。その後の活躍について、前出関係者は「昇格当初はやはり想定通りの弱点が部分部分で露呈していましたが、その後の修正が予想以上に早かった。真面目で勤勉な性格なのもあってか、実戦の中で急速に適応していく姿には驚かされましたよ」と目を丸くした。 今季通算成績は28試合で打率3割4分8厘、5本塁打、17打点。試合後には「どんな環境であっても、毎日球場に来て、自分ができる最高のプレーをすることを心がけているよ」とポリシーを明かした。優良助っ人は今後も高い志と人並み外れた適応力で巨人打線の核を担っていく。
熊沢航平