黒い紙がまさかのバカ売れ! 「ハイブリッドミルキー」シリーズ【山下メロの平成レトロ遺産:043】
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。 【写真】今週のレトロ遺産! 平成に流行した文具で、一度廃番になるも令和に復活したものがありました。それが1996年、ぺんてるから発売されたボールペン「ハイブリッドミルキー」です。 黒い紙に書けることが特徴で、業界初となる不透明なパステルカラーゲルインキを採用することで実現しました。これにより黒い紙にネオンのように目立つ文字や絵を手軽に描けるようになったのです。 また、レンズ付きフィルムで撮影した写真や、当時登場したばかりのプリントシール機で撮った写真シールに目立つように字を書けたのも人気の要因でしょう。ハイブリッドミルキーの販売数は年間1億本を超えるほど爆発的ヒットとなりました。 その後、各社から続々とパステルインキのボールペンが発売され、俗に「ミルキーペン」と呼ばれたボールペンたちは定番ジャンルとなっていきます。その開拓者がハイブリッドミルキーなのです。しかし、重要なのはペンだけではありません。なんとペンに合わせてメモパッドなども展開していたのです。 ペンと同じく「ハイブリッドミルキー」のブランドで発売されたぺんてる公式の商品は、黒いメモパッドや黒いレターセット、システム手帳で使える6穴リング用の黒い月間スケジュールなどがありました。 さらにオフィス向けには「ハイブリッド」のブランドで、机の上に置く予定表の黒いデスクダイアリー。今や使われることのなくなったフロッピーディスク用のラベルまでラインナップされています。 これらのメモ用の紙製品自体には特殊インクの技術は不要。紙が黒または暗い色であれば公式製品と同じ機能があり、各社から黒いメモ帳といった類似した紙製品が続々発売されたのです。 ぺんてるは近年、ラメ顔料インキの「デュアルメタリック」や筆ペンのように改良した「ミルキーブラッシュ」なども発売。今も黒い紙に書く文化は続いていますので、ぜひ探してみましょう。 撮影/榊 智朗