アップル、米独禁当局トップとの対談をけん制-元司会者が暴露
(ブルームバーグ): 米国の人気コメディアン、ジョン・スチュワート氏は、アップルの動画配信サービスで放映されていた時事番組で司会を務めていた際に、米独占禁止当局の一つである連邦取引委員会(FTC)のカーン委員長へのインタビューを行わないよう、同社から告げられていたことを明らかにした。
アップルは現在、反トラスト法(独禁法)違反の疑いで司法省や州当局などから提訴されている。
スチュワート氏は米ケーブルテレビ局コメディー・セントラルの風刺ニュース番組「ザ・デーリー・ショー」で行われたカーン氏との1日のインタビューで、「私はあなたをポッドキャストに出演させたかったのだが、アップルからやめてくれと頼まれた」と説明。「彼らは文字通り、『お願いだから彼女と話さないでくれ 』と言った」と語った。
スチュワート氏は「ザ・デーリー・ショー」の司会に復帰する前に、動画配信サービス「アップルTV+」の番組「ザ・プロブレム・ウィズ・ジョン・スチュワート」で司会者兼エグゼクティブプロデューサーを務めていた。この番組は2021年から23年まで2シーズン放映されたが、複数の報道によると、スチュワート氏とアップルとの間で意見の相違があったため番組が打ち切られたという。
カリフォルニア州クパチーノに本社を置くアップルの広報担当者にコメントを求めたが、すぐに返答は得られなかった。
連邦レベルでは反トラスト法執行は、FTCと司法省が分担している。司法省は先月、アップルが「iPhone(アイフォーン)」のハードウエアおよびソフトウエア機能への競合他社のアクセスを妨げているとして、同法違反の疑いで同社を提訴した。
米下院のギャラガー議員(共和)とクリシュナムルティ議員(民主)は昨年、アップルが「ザ・プロブレム」シリーズの第3シーズンの制作を行わない決定をしたことについて、同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)宛てに書簡を送付。両議員は、中国と人工知能(AI)をテーマにした内容がアップル幹部らに不安を抱かせたことが番組打ち切りの背景にあるとしたニューヨーク・タイムズ紙の報道について問い合わせを行っていた。