【天皇賞(秋)予想】4頭参戦の「前走・宝塚記念」から見えてくる狙える馬
GI・5勝目を狙うリバティアイランド(牝4、栗東・中内田充正厩舎)、日本ダービーなどGI・3勝のドウデュース(牡5、栗東・友道康夫厩舎)、勢いに乗るレーベンスティール(牡4、美浦・田中博康厩舎)らが出走する天皇賞(秋)(3歳上・GI・東京芝2000m)。 豪華メンバーのこの一戦を新進気鋭の“回顧派”予想家「Orfe」氏はどう見るか。前哨戦の分析を中心に展望する。 (文=Orfe) ◆前哨戦分析 天皇賞(秋)の主要な前哨戦3レースについて、私の提唱しているレースバイアス(展開・馬場などレース結果に影響を与えたであろうバイアスの総称で最も影響が大きい4角での位置取りを基に独自の基準で判定。以下RBと表記)に基づいて検証したい。 ・宝塚記念(GI) 『内有利』/ソールオリエンス・ベラジオオペラ 登録馬のうち4頭がこの宝塚記念からの直行。全馬が馬場の荒れた内を空け大きく外に持ち出す中で、直線大外からブローザホーンが豪快に突き抜けたレース。 このレースを紐解くカギは現状京都大賞典で、原因不明のシンガリ負けとレースにならなかったブローザホーンを除けば前走(=宝塚記念)で『外』のディープボンドが2着したのに対して『内』プラダリアは7着に凡走。 この結果から宝塚記念は本質的には『内有利』なRBで、プラダリアはRBに恵まれての4着。上位3頭が外を回した馬だったが、これは能力面でこの3頭が抜けていたと評価すべき。 勝ち馬ブローザホーンは次走京都大賞典で原因不明の大凡走となったが、宝塚記念で外を回した残る2頭(ソールオリエンス・ベラジオオペラ)は今回好走してくる可能性は高いと見ている。 ・オールカマー(GII) 『前有利』(暫定)/該当なし オールカマーからの次走出走馬がまだいないので暫定での評価となるが、15頭立てで1~7着までを4角8番手以内の馬が占めたレース。 非ハンデ重賞では能力的に足りないアウスヴァールが10人気2着に激走した結果からもかなり前が恵まれたレースと評価する。 ・毎日王冠(GII) 『内有利』(暫定)/該当なし こちらも次走出走馬なしで暫定での評価になるが、14頭立てで1~5着までを初角から4角まで5番手以内の馬が占め、上がり最速のトップナイフが12番手から9着、上がり2位のカラテが12番手から11着、上がり3位のローシャムパークが9番手から10着と後方待機勢が物理的にノーチャンスであったように、こちらもかなり前が恵まれたと評価するのが妥当だろう。 ◆狙い馬、過大評価禁物の馬 これらを踏まえて、天皇賞(秋)で狙いたい馬の1頭目はソールオリエンス。 前走のGI宝塚記念は先述の通り『内有利』なRBで、ゴール前の直線では内を大きく空けての追い比べ。直線大外で追い比べた3頭での決着になり、一見バイアスに恵まれたと思われがちだが、私の見立てでは『内有利』なRBであり、これを跳ね返した価値のある内容。3歳冬の有馬記念から4歳春の大阪杯までの内容も踏まえ、前走がフロック視されオッズが甘くなるなら好都合。 かねてから主戦の横山武史Jが「まだ全然完成途上で、完成は秋でも間に合わないかもしれない。古馬になってからかなと思います」と日本ダービー前に語っていたくらい鞍上も期待を寄せており、近2年のような前半1000m通過57秒台の超ハイペースの高速戦には今年はならないだろうから、血統背景的にもじっくり構えて直線勝負は向く。 2頭目はベラジオオペラ。 前走の評価はソールオリエンスと同じ。機動力を活かした立ち回りで阪神内回りと中山内回りで重賞全3勝を挙げているが、どちらもタフな馬場とは言え改修後の京都外回りで2着・3着と直線の長いコースでも高いレベルで安定している。東京でも若駒時ではあるが2戦ともに33秒台の脚は使っており、スローならトップスピードでも大きくは劣らないはず。スロー想定なら上がりの脚も使えるだろうし、ポジション差を活かして出し抜く可能性も。 過大評価禁物な馬としてはレーベンスティールを挙げておく。 前走のGIIオールカマーでは内目4・5番手を追走し、直線では進路が開かない不利がありながらも強引にこじ開けてきた。ただ、先述の通りかなり前が有利なレースで外を回した馬たちの不利と比べればそれほど大きな不利ではなく、これで重賞2連勝となったがこの2戦の相手がいずれもGIII級でGIの格上馬相手に過大評価は禁物。