戦力外からの再出発。楽天の栗原が往年のフルスイング打法で復活を!
オリックスから戦力外になった後、35歳で楽天に拾われ、奇跡の復活を遂げて、本塁打、打点の2冠王まで獲得した山崎武司氏が、テレビの仕事でキャンプ地を訪れて栗原に声をかけた。 「2軍時代の栗原を見たことがあるが、あまりにフォームが崩れていて驚いた。飛ばしたいという気持ちが強く、左肩から開き、腰まで一緒に開いてしまっていた。おそらく右肘の痛みも影響したのかもしれない。いいときの彼は、左肩は開いても、左腰は残っていた。そこで間ができていて、フルスイングで打球を捉えると、飛距離も出ていた。年齢と共に腰から下半身を残すという作業は難しくなるのは確か。でも俺も、その年齢から復活して40歳を超えるまでできた。かつて一世を風靡した打者ですよ。栗原ならばできると思う」 楽天OBでもある山崎氏は、自らの体験を交えながら、フォーム修正のポイントを伝え、復活への熱いエールを送っていた。崖っぷちに追い込まれ、もがき苦しむ栗原の姿がどこか昔の自分の姿に重なるのだろう。 アドバイスを受けた栗原も感激し、そして自らの復活へ向けて踏み出しているスタイルが間違っていないことを再確認したという。 「僕がやろうとしていることと、山崎さんから教えてもらった意見が一致した。方向性は間違っていないんだと思った」 復活打法に取り組んでいる栗原のこだわりが、代名詞でもあるフルスイングである。 「フルスイングにはこだわりたい。振ることが長打にもつながるし、そこがチームに求められている部分だと思う。入れてもらっただけでは意味がない。チームの力になれないと」 栗原は、そう思いのたけを語った。 栗原には、3人の可愛い娘さんがいるが、学校の関係で長女と次女は、ご両親に預けて広島に残り、昨年、生まれたばかりの三女と奥さんだけが仙台に移り住んで栗原をサポートしてくれるという。 家族のため、チームのため、そして、東北のためとの思いも栗原にはある。 久米島で栗原を取材しようと待っている最中、彼は、サインを求めるファン全員に丁寧にサインを返して、写真撮影に応じていた。「必ず復活して下さいね!」。ファンにそう声をかけられると、栗原は白い歯を見せてうなずいた。背水の34歳。まずはオープン戦サバイバルを生き残らねばならない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)