フィルタリングマン 愛媛県警公認ヒーローに密着
「正義のヒーロー、フィルタリングマンです!」。4月中旬、済美平成中等教育学校(松山市空港通5丁目)の体育館にコールが響くと、青い全身タイツに赤いマフラーを巻いたヒーローがさっそうと登場した。両手をまっすぐ伸ばし「フ」のポーズを決めると全校生徒約730人から拍手やどよめきが起きた。インターネットにはびこる魔の手から子どもたちを守るため、日夜戦う「携帯電話の救世主」が、巧妙化する犯罪にどう立ち向かっているのか。県警公認ヒーローの活動に密着し、子どもたちに忍び寄るリスクに迫った。(藤村成悟) ◆フィルタリングマン、誕生 フィルタリングマンの歴史は2012年にさかのぼる。子どもたちが親しみやすい形で携帯電話のフィルタリング(閲覧制限)機能の必要性を広めようと、県警に派遣された松山市職員がオリジナル漫画のキャラクターを考案した。13年1月、県の広報番組に出演するため、この職員が初代フィルタリングマンに「変身」。以降、県警に派遣された市職員が引き継ぐことになる。 ◆ヒーローの素顔 現在活躍する7代目は、市民税課主事から派遣された奥山亮さん(22)。「フィルタリングマンは県警唯一のヒーロー。一人でも多くの子どもを救いたい」と意気込む。業務の7割近くがフィルタリングマンとしての活動だ。 学校だけでなく公民館や児童クラブにも「出動」。職場の同僚である県警人身安全対策・少年課の猪野桂子課長補佐(56)とともに保護者や高齢者にもネットの危険性を伝えている。 学校や地域で起きた交流サイト(SNS)のトラブルなどを事前に聞き取り、県内外の実例も交えて注意点や対策を伝える方式が好評を博す。奥山さんは「どこでも出動する。もっと講演を依頼してほしい」と頼もしい笑顔を浮かべる。
愛媛新聞社