絶望的政治不信の果てに、スリランカの人々の悲しい選択肢
政治家・役人の汚職・公金横領の構造的体質と国民に蔓延する政治不信
独立後、現在に至るまでの歴代政権における二大政党の政治家・役人による汚職・腐敗がスリランカの発展を阻害してきた最大の原因という批判は、スリランカで政治経済を話すと誰もが必ず指摘する。“絶望的政治不信”が国民に蔓延している。 キャンディーの名門の公立学校長は、政府から派遣された剛腕官僚。現在の大統領は74歳であり25年前にも首相を経験しておりスリランカの既存政党・マンネリ政治を象徴する政治家と切り捨てた。 アッラのゲストハウスのマネージャー氏は、二大政党の既存政治家による汚職構造は何度選挙しても変わらないと断言。マネージャー氏は「共産党は現在国会253議席のうち3議席しかないが、平均年齢も若く大卒知識人が中心の共産党に一縷の希望を託している」と語っていた。 ヒッカドゥアのホテルオーナーのK氏は、ラージャパクサ一族(マヒンド・ラージャパクサ元大統領・元首相、ゴタバヤ・ラージャパクサ元大統領など)による不正蓄財は43億ドルという巨額でありスイス銀行など海外に持ち出されたと糾弾。共産党と二大政党反対勢力が糾合したNPP(National People’s Power)が、万が一にも次回大統領選挙・総選挙で大勝するようなことがあれば、スリランカも変われるのだがと嘆息した。 誰に聞いてもスリランカの汚職腐敗政治構造が変わる見込みがなく国家の未来に希望を持てないと肩を落とす。
スリランカの民主主義が問われる2024年の大統領選挙・総選挙
インドと同じくスリランカは1948年の独立以来クーデターによる政変は皆無であり選挙で指導者が選ばれる民主主義を維持してきた。上記K氏によると、憲法上の規定により選挙により今年10月までに現在の大統領・首相は再選されるか交替しなければならない。 しかし経済不振と重税により現政権の支持率は最低ラインであり、何かと理由を付けて選挙を先送りしている。K氏は今年8月までに公正な選挙が実施しなければ政治的な大混乱が起こると深刻に懸念した。