WBC優勝コーチの西武・辻監督が「キューバに脅威は感じない」
WBCの強化試合が5日、大阪の京セラドームで行われ、キューバは西武と対戦。西武が完封リレーで5-0のスコアでキューバを下した。2006年のWBC決勝でキューバと対戦した当時の侍コーチだった辻監督は「昔に比べて脅威を感じない。もっと迫力があって振ってくるイメージがあった」と、散発の7安打に終わったキューバ打線をバッサリ。ラテン系の選手はスイッチが入ると変わるものだが、オリックス戦に続いていいとこなしで連敗を喫したキューバは、日本のとって“組み易し”の相手なのかもしれない。 開幕を2日後に控えたキューバは今なお眠ったままだ。 「練習中に肩にボールを当てたので、ドクターからはOKが出たが大事を取った」(キューバのマルティ監督)との理由で、今季からソフトバンクでプレーする前千葉ロッテのデスパイネが先発から外れた打線は、西武の先発・野上、武藤、田村、小石、野田、増田の6投手リレーの前にスコアボードにゼロを9個並べた。 初回に元巨人のセペダ、サーペドラの連打から二死満塁のチャンスをつかんだが、ベニテスが野上の141キロのストレートを見逃して三振。三回にもまた、この日、4安打のサーペドラが一死一塁からレフト線に二塁打を放ち、二死一、三塁の得点機を作るが、ここでもグラシアルの打球が、西武内野陣の好守にも阻まれタイムリーが出なかった。オリックス戦でも、躍動感や迫力に欠けた打線は、まだ休眠中。 「以前のキューバに比べると脅威に感じなかった。(2006年の決勝で対戦したキューバは)もっと迫力があるというか、振ってくるイメージがあったが、そんなでもなかった。強引にこないというか、例えバッティングカウントでも(ボールを)見てくるような選手が数人いた」 辻監督は、開幕戦で日本が対戦する1次ラウンドのライバル国を一刀両断した。 しかし、マルティ監督は「負けはしたが、強化試合は試すものもありレベルを上がることを求めるもの。それに向かってはきっちりとできている」と言い、デスパイネに代わって4番に座り、4安打したサーペドラも「食事の違いや、時差などに苦労してきたが、やっと克服しつつある。7日に向けて状態を上げていくだけ」と、不安説を一蹴した。 キューバは、最終テスト登板として10人ものピッチャーを注ぎ込んだ。確かに、その10人から奪った5得点は、参考にならないかもしれないが、ひとつ侍ジャパンに大きなヒントを与えた。 キューバの何人かは、モーションが大きく、クイックのできないピッチャーがいて、二回には重盗を仕掛けてバッテリーのミスを誘い得点につなげたし、金子にルーキーの源田も単独スチールに成功した。 辻監督も「走れると思う」と機動力が使えることを断言した。 「もっともっと走れた。木村にしても“走っていいよ”という中でスタートを切れなかった不満はある。初めての対戦で勇気は必要になってくるが」 さらに辻監督はピッチャー攻略に関しては、こんな助言を侍ジャパンに送る。 「ピッチャーはよくわかんなかった。豪腕でもないし変化球でストライクを取れるピッチャーもいた。好球必打で、タイミングを合えば打つくらいでいけばいいんじゃないか」 侍ジャパンメンバーにとって自信が沸くようなモデルゲームを西武が見せてくれた。開幕戦には、緊張感という敵も潜む。ホーム開催、東京ドームという味方もある。まずはキューバ撃破で勢いをつけたい。