今の50代が10代の頃に一度だけ経験したインフレ到来…物価の上昇に、賃金も金利も年金も一切追いつかない、日本国民が貧乏になる未来
老後の年金も、インフレ以上には増えない
もう1つ知っておかなければならないのは、インフレによって私たちが将来受け取る年金額がどのような影響を受けるかについてです。 物価が上昇した場合、年金額が同じくらい引き上げられなければ、実質的に年金の価値は減ってしまうことになります。 では、実際はどうなるのでしょうか? 年金額は毎年、賃金や物価の変動率を基準に改定されています。現役世代の賃金や物価が上昇すれば、ある程度は年金額もアップするのです。 しかし2004年の年金制度改正では、物価や賃金の上昇をそのまま年金額に反映しない「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されています。年金制度を維持することを目的に導入されたこの仕組みがあるため、インフレになっても、物価上昇をカバーするほどには、年金額は上がりません。 つまり、年金もインフレには勝てないことが確定しているわけです。 図/書籍より 写真/shutterstock ---------- 朝倉智也(あさくら ともや) モーニングスター株式会社代表取締役社長 1966年生まれ。1989年、慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年、米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。その後、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立および上場準備を担当。1998年、モーニングスター株式会社設立に参画、米国モーニングスターでの勤務を経て、2004年より現職。著書に『〈新版〉投資信託選びでいちばん知りたいこと』『一生モノのファイナンス入門』『ものぐさ投資術』『マイナス金利にも負けない究極の分散投資術』『投資のプロが明かす 私が50歳なら、こう増やす!』など多数 ----------