泥だらけのローラも熱演、映画『バイオハザード』に込められた女性への敬意
ローラのイメージをどこまで変えられたのか?
――日本では、今回の作品にローラが起用されたことが話題を呼んでいます。 オーディションで、初めてローラに台詞を読んでもらったとき、彼女にダイナミズムを感じました。また、日本で定着しているローラのイメージを、この作品でどこまで変えられるかという楽しみもありました。専属のメイクさんもいない、照明の微調整もしないロングレンジのカメラワークのなかで、メイクを施し、血しぶきを浴びせられ、泥だらけの女戦士に見事に変身を遂げていくローラを見ていて、私も本当にワクワクしました。 タンクトップ姿にタトゥーを入れたマッチョな男性が、敵と戦うというのがアクション映画の典型ですが、ミラがアリスを演じたように、エレガントで洗練された美女が、激しいアクションシーンをこなすからこそ面白いんです。今回のローラの起用にはそういう意味もありました。彼女にとってはかなりチャレンジングなことだったと思いますが、本当によくやってくれました。
アリスと観客が共に旅してきた壮大な旅
――シリーズを通して観客の皆さんには、どのようなメッセージを届けられたと思いますか。 私は、『バイオハザード』は「女性向けの映画」だと捉えています。だからこそ、ミラが主人公なんですけどね。シリーズ1作目の冒頭シーンを思い出してください。アリスの記憶がまっさらなところからスタートしています。その時点では、アリスと観客の知識は同じように白紙の状態だったんですね。つまり『バイオハザード』の壮大な旅は、アリス自身の旅であり、観客の皆さんの旅でもあったわけです。『バイオハザード:ザ・ファイナル』の驚くような結末は、アリスや皆さんが期待しているものとは違ったかもしれませんが……。 またもう一つのテーマは、「人間はその人自身の環境や関わる人間によって形成されるものである」ということです。邪悪なアンブレラ社の産物でありながら、人生を切り開き、自らのアイデンティティーを確立していったアリスは、まさにその典型だと思います。