UBSが黒字回帰、ウェルスと投資銀好調-株主還元進める
(ブルームバーグ): スイスの銀行UBSグループは、3四半期ぶりに黒字に回帰した。ウェルスマネジメント部門と投資銀行部門は共にクレディ・スイス統合が進展し、好調だった。
7日の決算発表によると、1-3月(第1四半期)の純利益は18億ドル(約2800億円)と、アナリスト予想の5億9800万ドルを上回った。主要事業であるウェルスマネジメント部門に予想を上回る270億ドルが流入した。統合後の投資銀行は米国での業績が好調で、クレディ・スイス買収後初の黒字を計上した。
UBSの株価はチューリヒ市場で決算発表後に上昇し、現地時間午前9時40分現在で8.1%高。
UBSはクレディ・スイスとの法的合併を5月31日までに完了させることを目標としている。堅調な決算は、規制強化に備えるセルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)を後押しするとみられる。スイス政府は先月、UBSの自己資本要件を約200億ドル引き上げることにつながる規則改正案を示した。
新規則が導入されるのは2026年となる公算が大きく、同CEOは今後2年で約20億ドルを株主に還元する方針を示している。
エルモッティCEOはブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「顧客のモメンタムも良好でさまざまな事業に資金が流入している。資本の状態も堅固で、株主還元計画の継続が可能だ」と語った。
UBSはクレディ・スイス買収の一環として取得した資産と負債の再評価に伴い、処分予定の資産を集めた部門で2億7200万ドルの利益を計上した。
今後の見通しとしては政策金利の変化が融資事業の利益に影響し始め、それを一因にウェルスマネジメントや個人および法人向け銀行事業で純金利収入が減少すると見込んでいる。
クレディ・スイス統合に関しては、1-3月に約10億ドルのコスト削減を実現し、2024年末までにさらに15億ドルを減らすことを目標としていると説明した。
ウェルスマネジメント部門の収入は61億ドルと、昨年10-12月期の56億ドルから増えた。特に米州とスイス、アジア太平洋地域が業績をけん引したという。