１０月１４日、イタリア・ミラノで始まった国際宇宙会議（ＩＡＣ）で、中国の無人月面探査機「嫦娥６号」が月の裏側から採取した試料（サンプル）が公開された。写真は国際宇宙ステーションから見たオーロラ。１１日にロイターが入手。提供写真（２０２４　ロイター／NASA）

Joey Roulette ［ミラノ（イタリア）　１４日　ロイター］ - イタリア・ミラノで１４日始まった国際宇宙会議（ＩＡＣ）で、中国の無人月面探査機「嫦娥６号」が月の裏側から採取した試料（サンプル）が公開された。政治的・商業的な対立の影が見え隠れするＩＡＣで、西側諸国との関係が緊迫化している宇宙大国のロシアは欠席した。 １９５０年に始まったＩＡＣは世界最大の宇宙関連会議で、期間は今月１８日まで。今回は欧米や日本などの宇宙機関のトップらが参加している。 米航空宇宙局（ＮＡＳＡ）は探査機オシリス・レックスが２０２３年に小惑星ベンヌから採取した試料を展示した。 ＩＡＣを主催するＮＰＯで、７７カ国でつくる国際宇宙航行連盟（ＩＡＦ）のクレイ・モーリー会長はロイターに対して「宇宙に関して１９６０年代のアポロ時代以来、最も興奮する時を迎えている」と語った。 今回のＩＡＣでは月探査や、ＮＡＳＡの月探査計画「アルテミス計画」、欧州が急務としている宇宙空間への主権的アクセスについて話し合われる予定。 ＮＡＳＡのネルソン長官はこの会議を活用し、２０年を超える歴史を刻んで老朽化した国際宇宙ステーション（ＩＳＳ）が２０３０年に運用を終えた後、代わりに民間企業を活用する計画への支持の取り付けを目指すとの見方が出ていた。 ＩＳＳは地球上での対立にもかかわらず、米国とロシアが主導する宇宙外交の象徴となってきた。 ＮＡＳＡはアルテミス計画に数十億ドルを投資する一方、中国の宇宙ステーション「天宮」に対抗するために地球低軌道上でのプレゼンス維持にも熱心だ。 米国と中国は、１９７２年のＮＡＳＡのアポロ１７号以来となる人類の月面着陸に向けても競っている。双方とも同盟国を積極的に呼び込み、月探査計画に向けて民間企業に大きく傾倒しており、より小規模な宇宙機関の宇宙目標を形成している。