九州豪雨で行方不明の「もう一人の母」…球磨川の拡幅工事で解体される自宅で甥夫婦が花を生け、祈り
九州豪雨から4日で4年。熊本県芦北町で行方不明になった城幸恵さん(当時89歳)の甥、城文博さん(77)と妻、裕子さん(75)は、幸恵さん宅に花を生けた。家は球磨川の拡幅工事に伴って解体される見通しとなり、「ここでのお祈りは最後かもしれない」と複雑な思いを語った。 【動画】九州豪雨で浸水した「釜田醸造所」がしょうゆ造り再開…熊本県人吉市
幸恵さんは自宅で濁流にのまれたとみられる。実母を亡くしていた文博さんにとっては「もう一人の母」。豪雨直前にも会い、誕生日の7月6日に90歳の「卒寿」を祝う約束もしていた。
一昨年春、裁判所で手続きし、失踪宣告を受け、幸恵さんは法律上は「死者」となった。それでも、いつ帰って来てもいいようにと、月命日前後には家を片付け、庭を手入れしてきた。
4日は花が好きな幸恵さんのためにユリやホオズキを供えた。「ここはもう川になってしまうのか」。道路と球磨川の間にある家で、夫婦はつぶやいた。