シロエビ82%減・ベニズワイ26%減、富山湾の漁獲量過去最少 地震による海底地滑り影響
県水産研究所は7日、能登半島地震による富山湾の水産資源への影響を調べた中間結果を公表した。海底地滑りにより、2024年の漁獲量は前年同期に比べ、シロエビが82%減の60トン、ベニズワイガニが26%減の107トンでいずれも過去最少。海底環境の変化でシロエビは生息場所を移した可能性があり、カニは漁具の流出や個体が埋もれたことが要因とみられる。影響は長期化する恐れがあり、県は資源回復へ過度な漁獲を避けるよう漁業者に求めていく。 シロエビの4~6月の漁獲量は60トンで、前年同期より269トン減少。5月に神通川河口沖で行った幼生の分布密度の調査では、個体数が96%減になった。 ベニズワイガニの1~5月の漁獲量は107トンで、37トン減少した。6月には魚津市沖の水深800メートル付近で、海底地滑りの痕跡を確認。カニが埋まって死んだり、逃げたりしたとみられる。ベニズワイは漁獲対象の体長9センチ以上になるまでに9年以上かかる。
水深6~600メートルの74地点の堆積物を分析した結果、18地点で硫化物が基準を超えて検出された。海底地滑りで堆積物がかき乱されて生息環境が悪化し、親となるシロエビが沖側にすみかを変えたと推測されるという。海底環境が元に戻るには半年~1年程度かかる見通しで、漁場の変更を余儀なくされる恐れがある。 7日、県庁で辻本良水産研究所長らが説明した。辻本所長は「漁業者の生活と、水産資源の回復のバランスを見ながら対応していく」と語った。調査は継続し、25年3月をめどに最終報告を取りまとめる。