「インスリン注射をなくしたい、そこまで行きたい」治らない病気から治る病気に 1型糖尿病 治療研究の最前線
11月14日は、世界中で糖尿病予防の啓発キャンペーンが行われる「世界糖尿病デー」です。 【写真を見る】「インスリン注射をなくしたい、そこまで行きたい」治らない病気から治る病気に 1型糖尿病 治療研究の最前線 糖尿病は、発症の原因によって大きく1型と2型に分けられますが、このうち、1型糖尿病は、自己免疫の異常によって発症するとされ、いまのところ完全に治すことはできません。 この1型糖尿病を治る病気にしようと、今、様々なアプローチで研究が進められています。その最前線を取材しました。 ■不治の病ともいわれる1型糖尿病 1型糖尿病はすい臓にあるすい島の細胞が突然破壊され、血糖値を下げるインスリンが分泌されなくなる病気で、全国に10万人から14万人の患者がいるとみられています。 (糖尿病専門医あおぞらクリニック・今村洋一院長)「1型糖尿病は小学生や中学生のころに発症することが多い。2型糖尿病の場合は自分の体からインスリンが出てきますのである程度コントロールしやすいんですが、1型糖尿病の場合はほぼほぼインスリンが体から出ませんので、それを機械を使ったり自分で考えたりして調節をしないといけないのでかなり大変かと思います」 1型糖尿病を発症すると、高血糖になるのを防ぐためインスリンポンプと呼ばれる機械やペン型の注射器を使って、食事のたびにインスリンを自分で補充する必要があります。 また、激しい運動をしたり補充したインスリンの量が多すぎたりすると、逆に低血糖となってしまうため、それを防ぐには適切な量の糖分を補給しなければなりません。 こうした血糖コントロールがうまくいかないと、失明や腎不全などの合併症を発症したり、意識障害に陥ったりすることがあります。 ■バイオ人工すい島移植プロジェクト 一度発症すると完治する方法がないこの1型糖尿病を治る病気にしようと、今、様々なアプローチで研究が進められています。 (研究者)「白く濁って見えているところが実際のすい島。透明のカプセルの中に白い組織が見えている」 1型糖尿病の治療には、インスリンを分泌するすい島の移植が最も効果的ですが、ドナーが少なく国内ではほとんど行われていません。 そこでドナー不足を解消する方法として研究が進められているのが、バイオ人工すい島移植プロジェクトです。 この治療法では、ドナーからではなく無菌状態で育てられた医療用の豚からすい島を取り出し、特殊なカプセルで包み込んで患者に移植します。