コロナ後の立ち飲み屋に「若い女性」が増えた イマドキの女性&若者の心理を突いた戦略がそこにある
「なぜあの店は潰れないのか?」「なぜあの商品はあそこまで流行ったのか?」 身の回りに浮かぶ疑問の数々。背後には、さまざまな「儲けの仕組み」があります。 菅原由一さんの著書『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』より一部抜粋・再構成してお届けします。 ■現代人の「隙間時間」はビジネスチャンス マンガ『笑ゥせぇるすまん』には「ココロのスキマ…お埋めします」という名台詞があります。主人公の喪黒福造が、その言葉の通りに世の中の人の心の隙間を埋め、満足させるというストーリーです。
社会変化という点で「隙間」は大きなキーワードです。ちなみに隙間とは、スケールの大きな念願や願望ではなく、日々のちょっとした需要のことを指します。世の中では時代に応じて様々な隙間が生まれ、それらを埋めてほしいと思っている人がいます。 現代においてそのニーズに応えているのが立ち飲み屋です。立ち飲み屋が埋めている1つめの隙間は「時間の隙間」です。近年の大きな社会変化として、働き方改革が進みました。これによって残業が減り、早く帰る人が増えました。早く自宅に帰りたいと思っていた人たちにとっては、望ましい状況と言えるでしょう。
しかし、世の中には早く帰りたくないサラリーマンもいます。会社には長居することができないし、かといって家に帰ってもすることがない。そんな人たちが終業後の時間を持て余すようになり、そのニーズを立ち飲み屋がつかんだのです。 立ち飲み屋のような、自宅でも職場でもない、居心地の良い3番目の居場所を「サードプレイス」といいます。 時間を持て余したときだけではなく、仕事でドッと疲れたり落ち込んだりしたときにも、立ち飲み屋で少し飲むことで気持ちをリフレッシュさせ、すっきりした状態で帰宅することができるようになるのです。
ちなみに、スターバックスはこのサードプレイスというコンセプトを追究していたことは有名な話です。 立ち飲み屋の繁盛と関連する社会変化として、タイパも影響しています。タイパはタイムパフォーマンスの略語で、時間効率の良し悪しを表す言葉です。コスパ(コストパフォーマンス)の時間版として若い人たちを中心に重視されるようになった新しい価値基準で、三省堂が発表する2022年の「今年の新語」では大賞になりました。