疲弊する教員たち 連日、睡眠時間2~3時間「何もする気が起きなくなった」休職経験の教員の思い
■精神疾患で休職 過去最多の6539人に Aさんのように精神疾患によって休職する人が増えていて、2022年度は全国の公立学校で6539人に上り、過去最多となりました。 福岡県内で教員のカウンセリングを専門とする医師は「年々、子供や保護者に向き合う時間が長くなり、教員の疲弊につながっている」と話します。 福岡聖恵病院 十川博 副院長・心療内科部長 「教職員の方は色々な肉体的な労働もあると思うが、色々な感情を使う。お子さんたちに対しての色々なお気持ち、保護者に対しての気持ち、いいことも悪いこともあって、最近は感情が疲弊してしまう。いじめの件数、それから不登校の件数が非常に増えている。不登校の方のことを報告しないといけない。そういう二次的な作業が非常に増えている」 ■教員志願者数も減少傾向 教員のなり手不足も深刻です。福岡県が先月末に発表した来年度の小学校教員採用試験の志願者数は733人、倍率はおよそ1.2倍と減少傾向が続いています。 福岡聖恵病院 十川博 副院長・心療内科部長 「一番問題なのは長時間労働ですよね。若い方はワークライフバランスで自分の生活を大切にしようという風に思って、入職するわけですけども、とてもその自分の時間なんか持てない。メンタル的に少しやられてとしまうということがあると思うんですよね」 ■「定額働かせ放題」で長時間労働に 長時間労働の一因となっているのが、1971年に制定された「給特法=教職員給与特別措置法」の存在です。 残業代を支払わない代わりに給与に一定額を上乗せする制度などを定めたもので「定額働かせ放題」の温床と言われています。 こうした状況を改善しようと、文科省は先月、上乗せ分を現在の4%から10%以上に引き上げる方針を示しました。 ■見直しでも「業務と見合っていない」 今でも毎日、定時で帰ることはないというAさんは、この方針について「給特法を廃止して働いた分の残業代を払ってほしい」と話します。 Aさん 「実際働いてる時間は、多分当初法律が決まったときよりは、ものすごく増えてると思うし、(勤務)時間を考えたら4%という数字は今の業務とは見合ってない。待遇としては良くなるってことだとは思うんですけど根本の解決には、つながってないかなとは思う」
■教員志願者増加目指す取り組みも 教員志願者を増やそうと、福岡県や佐賀県では今年度から採用試験の日程を例年よりも1か月前倒しして実施しました。採用活動が早い民間企業に志願者が流れるのを防ぐ狙いがあります。 また、福岡県では「大学3年生チャレンジ特別選考」という新たな試験も導入しました。 これは本来4年生で受ける一次試験を、3年生のうちに受けられるものです。4年生になったら、より難しい二次試験に集中できる環境を整えることで、より良い人材を確保することを目的としています。
RKB毎日放送