巨人優勝 MVPに「菅野」より推したい投手と、チームの雰囲気を変えた救世主は【柴田勲のコラム】
巨人が4年ぶり48度目(1リーグ時代の9度を含む)のリーグ優勝を達成した。 今年は球団創設90周年の節目の年、フロント、球団関係者、OB、そしてファンが待ち望んだ優勝で、誰もが喜んでいる。 監督就任1年目の阿部監督には計り知れないプレッシャーがあったことだろう。涙がすべてを物語っていた。「おめでとう」と祝福の言葉を贈りたい。 9月9日には4.5ゲーム差以内に4チームがひしめくという、まれに見る大混戦だった。広島に勝利して141試合目のV、楽には勝たせてくれない。粘り勝ちだ。 優勝への分岐点、それは丸佳浩を4月下旬から1番に据えたこと、そしてエリエ・ヘルナンデス外野手の加入だったと思う。 開幕前に新外国人選手のルーグネッド・オドーアがファームでの調整を拒否して帰国した。イヤな雰囲気が漂う中でのシーズンスタートとなった。 前半戦の巨人、ムードがあまり良くなかったと思う。阿部監督は1点を取るのに四苦八苦した。バントを多用し、盗塁で突破口を開こうとした。1死一、三塁からセーフティーバントを仕掛けるシーンもたびたびあった。
ヘルナンデスが変えた雰囲気
打者の振りは鈍く、プレッシャーから萎縮していた。途中入団のヘルナンデスはそんなチーム状況は知らない。無関係だ。 伸び伸びとプレーした。5月28日のソフトバンク3連戦の初戦からスタメン出場すると初安打、翌日もまた安打を放った。30日の3戦目、5点を追った3回に追撃の1号3ランを左翼席に運び、これが岡本和真の逆転弾を呼び込んだ。2勝1敗で勝ち越した。 チームの雰囲気がガラリと変わった。6月中旬には3番に座り、チームに相乗効果をもたらした。8月11日に左手首骨折で離脱したが、それまでチームを支えた。救世主といっていい。阿部監督は「オレの心も折れそう」とコメント、ショックの大きさが分かった。 それでも新外国人、ココ・モンテスが一時は3番を任され、2年目の浅野翔吾が活躍した。さらにオコエ瑠偉らも要所でいい働きをした。みんなが穴を埋めようとした。 MVPは菅野智之、戸郷翔征、そして岡本和、この三人の争いになると思うが、心情的にはヘルナンデスを候補の一人に入れてやりたいたくらいだ。