「厄払い鯉」5人だけ 庄川の奇祭、数十年で最少 日程変更実らず継承不安
砺波市庄川町金屋に伝わる奇祭「厄(やく)払い鯉(こい)の放流」が3日、庄川水記念公園で行われ、コイの口にお神酒を注ぎ、ダム湖に放った。参加しやすいように今年から正月三が日に変更したが、集まったのは男女5人だけで、ここ数十年で最少にとどまった。運営する庄川峡観光協同組合は、多くの事業所が休みで比較的参加しやすいとみていたが、継承の不安があらためて浮き彫りになった。 神事の対象は金屋地区の在住や出身者、ゆかりの人となっているが、同地区は人口減少が進む。数えで42歳の男性は今年ゼロとなり、運営に初めて協力する金屋青年会の男性が介添え役を務めた。 庄川峡観光協同組合の川崎和夫副理事長(73)は20人近くが参加していた40~50年前を懐かしんだ上で「仕方がないところがあるが、やっぱり寂しい」と話した。 参加したのは厄払いを迎えた数え年の25歳の男性1人、33歳の女性4人が金屋神明宮でおはらいを受けた後、庄川水記念公園内の鯉恋の宮前に集まった。 男性で唯一の参加者となった齋藤健也さん(23)=砺波市庄川町金屋=が桶に入った体長約20センチのコイをつかみ上げ、女性が一升瓶(びん)に入ったお神酒を口に注いで放流した。 家族と参加した夏梅遥南(はるな)さん(31)=南砺市城端野下=は「同級生が集まるいい機会になっているので続いてほしい」と願った。 しょうがわ認定こども園の年長児も放流行事を体験し、庄川峡観光協同組合が「七福鍋」を振る舞った。 ★厄払い鯉の放流 1816(文化13)年に金屋神明宮の遷宮祭の際、お供えのコイが祭典後も長時間生きたことから、強い生命力に災厄を託し、放流したのが始まりとされる。