“多すぎる”。「お坊さまと鉄砲」長老と銃コレクターの価格交渉シーン、著名人コメント公開
「ブータン 山の教室」(2019)のパオ・チョニン・ドルジ監督が、初めての選挙を控えた村で巻き起こる騒動を描き、第96回アカデミー賞国際長編映画賞ブータン代表作に選ばれた「お坊さまと鉄砲」が、12月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国で順次公開される。アメリカからやってきた銃コレクターと村の長老による交渉シーンの映像、ならびに著名人のコメントが到着した。 「お坊さまと鉄砲」本編映像 銃コレクターのロンは“幻の銃”を買い取ろうと、7万5千ドルの巨額を提示。すると長老は「なんとまあ……多すぎる」と拒否反応を見せ、ロンは言葉を失う──。「ブータン人の無垢な部分は、重要な価値であり本作のテーマでもあります。残念なことに、近代的で教育水準の高い国へと変化するにつれ、私たちのこの美しい価値は失われ、捨て去られつつあります。現代人には“無垢”と“無知”の違いを区別できないのでしょう」(ドルジ監督)
〈コメント〉
「国民総幸福」を国家のビジョンとするブータンの映画なのに、ラマ僧の「物事を正すため、次の満月までに銃を用意しなさい」の命に従いて、若い僧が昼間から鉄砲を担いで歩いても誰も不思議に思わない。 ユーモアに溢れ不思議な幸福感に裹(つつ)まれた映画。 何よりも“絵”で笑わせてくれるパオ・チョニン・ドルジ監督に脱帽です。 ──滝田洋二郎(映画監督) やられた! 登場した銃は必ず使われる映画の「鉄則」があるが、まさかあの結末になるとは!! 現代の世界を覆っている重苦しい雰囲気に爽やかな風を吹き込む傑作。 ブータンに行きたくなる!!! ──茂木健一郎(脳科学者) 人はどんな「物語」を信じて生きるのか。 伝統か。民主主義か。金か。銃か。 2024年、日本は選挙で揺れた。 初めて選挙が導入されようとするブータン社会を描いた、価値観を揺さぶられる衝撃作。 ──大島新(ドキュメンタリー監督) ブータンの鮮やかな自然を背景に、コミカルかつシニカルに描かれる初の模擬選挙と銃の行方。 民主主義や資本主義から距離を置いた国が舞台だからこそ、浮き彫りになるものが。 何かと選挙で落ち込むことの多かった昨今だから、余計胸に刺さる映画だった。 ──宇垣美里(フリーアナウンサー・俳優) 人間こそが、ざんねんないきもの。 ボンノウの数が百八つもある。それ故、争いも絶えない。 『お坊さまと鉄砲』、タイトルだけ聞くとそんな堅苦しいテーマの映画だと思ったが、違った。 ざんねんないきものには間違いないが、人間には優しさとおかしさがあることを改めて気づかされる、そんな映画だった。 ──みうらじゅん(イラストレーターなど) 民主主義のハンドメイド感がすごい。 当たり前に選挙があると思っていた。 民主主義で選挙で選択ができることの尊さ、選挙を浸透させることの難しさ。 選挙期間になるとこぞって選挙啓発をして、選挙に行くなんてエライ!と褒め称えられる。 それこそが日本の平和ボケを象徴しているのかもしれない。 ──井上咲楽(タレント) 人々の平穏な暮らしを破壊しかねない民主主義とそれに対抗しようとする僧侶……なんていう設定だけでも面白すぎる。 世界で唯一無二の国ブータンでは映画も唯一無二だ。 ──高野秀行(ノンフィクション作家) 鉄砲という人を殺める武器が、持つ人によって全く異なる意味を持つことを痛感させられる。 民主主義とは何なのか、人々は本当に幸せになれるのか── その答えがますます見えにくくなっている今だからこそ、ぜひ観てほしい作品です。 ──岡本多緒(俳優・モデル・映画監督) 時が止まったような秘境・ブータンで初めて民主的な選挙が実施されることになった。 静かな村には「発展」「人権」「伝統」といったさまざまな政治信条が押し寄せ、人々の間に対立が生じる。 その時、老いた高僧が行動を起こす。 分断からつながりへ、どうすれば戻れるのか?その問いに答える作品。 ──モーリー・ロバートソン(タレント・ジャーナリスト) 僧侶は編集者だと言われることがあります。 変わらない教えを、変わりゆく時代にどう伝えてゆけるのか。 その大事なヒントを貰った気がします。 変革に迫られ混乱の最中のブータンで、お坊さまが選び取った行動に、いち僧侶としてすっかり心を撃ち抜かれました。 ──秦正顕(「フリースタイルな僧侶たち」編集長)
Story
国王の退位により、民主化に舵を切ることになった2006年のブータン。“模擬選挙”の実施を聞いたウラ村の高僧は、当日までに銃を二丁用意するよう若い僧侶に指示する。時を同じくして、“幻の銃”を探すアメリカ人の銃コレクター、そして投票方法を教える選挙委員が村に到着。銃と選挙をめぐる思いがけない騒動が巻き起こる──。 「お坊さまと鉄砲」 © 2023 Dangphu Dingphu: A 3 Pigs Production & Journey to the East Films Ltd. All rights reserved 配給:ザジフィルムズ、マクザム