巨人入りマルティネスを打ち崩せ!意地を見せろドラゴンズ"今日の友は明日の敵"
またも巨人に奪われた
契約満了によって、他球団へ移籍することはやむを得ないとしても、相手球団が讀賣ジャイアンツということに、胸のモヤモヤを禁じ得ない。最近では、2017年にドラゴンズでホームラン王になったアレックス・ゲレーロを思い出す。同じくキューバ出身の選手だったが、タイトルを取った翌年、ジャイアンツに"奪われた"。 ライデルへ巨人が用意した条件は「2年で総額24億円」とキューバでの報道があったが、ドラゴンズの条件も決して負けてはいなかったはずだ。「日本シリーズに出て優勝することが夢」と現地メディアが報じたライデルの言葉が胸に痛い。向こうはリーグ優勝、こちらは3年連続の最下位である。中日新聞社と讀賣新聞社、親会社が同じメディアであるだけに、またもや新たな因縁を感じてしまう。
ファンとしての強がり
「去る者は追わず」と気持ちを切り替えるしかない。ここからは、ドラゴンズファンとして、手の平を返すことをご容赦いただきたい。あえて"負け惜しみ"を言うならば、ライデルは、かつて407セーブを記録して、日本一にも貢献した岩瀬仁紀さんのように"優勝チームの抑え投手"ではなかった。低迷を続けるドラゴンズでのマウンド、9回の緊張感もまた違うものがあるはずだ。ジャイアンツでのお手並み拝見である。2011年シーズンを最後に、もう13年間も優勝ペナントを手にしていないドラゴンズ。ならば、これを機に新たなクローザー誕生に期待したい。岩瀬さんのような"優勝チームの抑え投手"である。
清水も松山もいるぞ!
候補の名前は2人、すぐに思い浮かぶ。それだけでも、ドラゴンズは投手陣に恵まれていると思うのだが、清水達也と松山晋也である。2024年シーズンは、主に清水が7回を、松山が8回をまかされて、9回のライデルにバトンをつないだ。清水は、井端弘和監督に選ばれて日本代表チーム「侍ジャパン」の一員になり、クローザーも担当した。松山は入団2年目の今季、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。井上一樹新監督が、どちらを指名するのか、開幕に向けての大きな楽しみでもある。さらにもうひとり、中堅に差しかかった藤嶋健人もいる。その円熟味を増している投球術は、抑え投手でも十分に務まるはずだ。 かつて初代セーブ王のタイトルを取ったのは故・星野仙一さんだった。以来、ドラゴンズには、日本プロ野球を代表する"抑え投手"の系譜が脈々と続いてきた。今日までの仲間は、明日からのライバル。「巨人のライデル・マルティネス」を遠慮なく打ち崩すことを願うと共に、井上竜にはリーグ優勝はもちろん、日本一になって、ライデルを口惜しがらせるくらいの意地を、是非見せてほしい。そう願わずにはいられない。 【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】 ※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が"ファン目線"で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。
CBCテレビ