韓国の大谷翔平ファンクラブ会長にインタビュー 「同じポルシェまで購入しました」
ドジャースのMLB開幕戦が行なわれる韓国にある、大谷翔平ファンクラブの会長イ・ジェイク氏をソウルでインタビュー。後編ではクラブ設立の経緯や、日本選手を応援する葛藤。そしてそれを上回る大谷愛を聞いた。 【写真】「5億ウォンつぎ込んだ!」韓国の大谷翔平ファンクラブ、イ・ジェイク会長のグッズコレクション 前編「大谷翔平を好きになり、推し活を始めたきっかけ」>> 【5億ウォンくらいつぎ込んだ】 2015年のプレミア12で大谷翔平を知り、ライブ・録画を含め全試合観戦するほどの「推し活」の日々を送ることになった、イ・ジェイク氏。 いつしかそれは、大谷関連のコレクション収集にも向かっていった。 「数多くの所蔵品と合わせ、大谷選手と同じポルシェまで購入しました。ここまでつぎ込んだのは...5億ウォン(約5000万円)くらいですね。トレーディングカードが多いのですが、僕が注目しているのは『記念すべき瞬間』。メジャー入りした際の最初の英語スピーチの記念カードや、本物のサインの入っている初ホームランカードなど。計400枚くらいになりますね。最も価値があるのは1000万ウォン(約100万円)の値がついています。そのほか彼が実際に投げたボールや...日本で初めてモデルになった雑誌も取り寄せました」 そうやって充実したオタク生活・推し活を続けていた折、2022年のシーズン途中だった夏にあることに気づく。 「なんで韓国には大谷選手のファンクラブがないんだ?」 大谷の活躍を巡って、日本を含む他の国々も大騒ぎになっている。いくら韓国にある種の反日感情があり、2019年のような日本製品の不買運動が起きても、大谷の話はスポーツの世界での出来事なのだ。こんな偉大な選手にファンクラブがないのが不思議だった。だから自分が作ろうと思った。
【ファンクラブ開設の葛藤】 しかし、強い思いにも、いざ「オープン」となると本人の想像した以上に躊躇いを感じたのだった。 「サイトの『公開』ボタンが押せなかったんですよ。コンテンツの設定はすべて終え、あとは押すだけだったんですが...。大きな批判が巻き起こることが頭をよぎった。『親日派(日本の統治時代に日本側に味方をして当時の朝鮮半島の人たちから暴力・搾取をし、社会的にのしあがった層)』と言われたらどうしよう、などと」 ファンクラブ開設前からも、「大谷好き」として活動するイ氏に対して「なんで日本の選手を応援するんだ」という声がインターネットの掲示板で「本当に、本当にたくさん」(本人)書き込まれた。本人の大谷好きが高じて2023年11月に出版された自著『大谷のようにポルシェに乗る』ではこう綴られている。 「キム・ヨナではなく、浅田真央を応援するのと同じじゃないか、という感情的な書き込みさえもあった」 ただ自身もそれが理解できる部分もあった。「なぜなら僕自身も最初は『韓国をナメているのか?』という反発がスタートでしたから」。 さまざまな感情は理解できても、いざ「日本人選手」のファンクラブを開設するとなると躊躇いがあった。「公開」のボタンが押せず、1カ月、2カ月と時が過ぎていく。「決断」したのは、夏が終わり秋に差し掛かった2022年10月7日だった。 「2022年、打者として規定打席に達し、投手としても規定投球回数に達したでしょう? もはやそんな躊躇いよりも、彼の偉大さのほうが勝ると思ったんです。人間の限界を超えた境地に達している人物と、同じ時代に生きているわけです。それを見なかったり、応援しない手はありますか?」