切なすぎる描写に泣いた…離ればなれになった“母と子”、健気な主人公たちの姿に感涙した昭和アニメ
■幼い子どもがアルゼンチンへ渡る『母をたずねて三千里』
『母をたずねて三千里』もまた、離ればなれになった母と子、そして健気な主人公が印象的な作品だった。 日曜夜の7時半に放送されていた『世界名作劇場』。そのシリーズ2作目として1976年に放送されたのが、この『母をたずねて三千里』だ。 第1話「いかないでおかあさん」、家族全員での楽しい馬車でのお出かけを最後にアルゼンチン共和国の首都・ブエノスアイレスへ出稼ぎに出た母のアンナ・ロッシ。その後、なぜか音信不通になってしまったアンナに心配を募らせる家族。そして、イタリアから離れられない父や兄に代わり、まだ幼い少年マルコが母を探しアルゼンチンへ向かうこととなる。 イタリアとアルゼンチン間はジェット機がある現代では約半日の距離だが、マルコが旅したのは1882年、ライト兄弟が飛行機を発明する前である。移動はもっぱら船や馬車。もちろん電話などの通信手段もなく、母の情報は人から直接聞いたものだけだ。 マルコと相棒の白い猿・アメデオの旅は苦難の連続だったが、そのたび多くの人々に助けられ乗り越えて行く。その旅は実に3カ月にも及んだ。 そして第51話「とうとうかあさんに」で、マルコはようやく母のもとに辿り着く。母はたび重なる移住に過労、そして家族と連絡が取れない精神的な苦痛から病に伏してしまっていた。朦朧とするアンナに「お母さん! お母さん!」と呼びかけるマルコ。その声に母もどうにか意識を取り戻し、涙の再会を果たすのだった。 海を越えはるばる会いに来てくれた息子に力を得た母は危険な手術にも耐え、その後奇跡的に回復する。そして、最終52話「かあさんとジェノバへ」。母が仕えていたメキーネス夫婦や手術を担当した医師・ロドリゲス先生の好意もあり、2人はついに一緒にイタリアへ帰るのであった。 旅を経て成長したマルコの表情は、第1話で母と別れたくないと泣きじゃくっていた頃とはまったくの別人だ。「医師になり再びアルゼンチンに戻ってくる」と誓う、非常に頼もしい少年となっていた。