外信コラム 百聞は一見にしかずのサミット取材 米伊警備体制の違いや特殊装備の隊員たち
スピードや効率が重視されがちな現代社会の中で、あえて非効率なことに取り組んでみた。 記者はイタリアで13日から開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)を取材することになり、米政府から取材機会として、バイデン氏がサミット会場近くの空港に到着する場面の案内が届いた。取材と言っても、到着した大統領専用機「エアフォース・ワン」からバイデン氏が降りて関係者とあいさつし、大統領専用ヘリ「マリーン・ワン」に乗り換えるまでの様子を遠方から見るというもの。 声も一切聞こえず、肉眼では誰と話しているかも分からない。重要発言を聞ける可能性はほぼなく、関心を示すメディアも少ない。 取材時間10分程度に対し、移動や待機などの時間は計6時間程度。非効率極まりないが、せっかくの機会と思い参加した。 現場では米伊両国の警備体制の違いやマリーン・ワンなどの編隊、特殊装備を身に着けた隊員を目にすることができた。米政府や在伊米大使館の職員も行動が規制され、米側の警護担当者が伊警察に1メートル程度でも位置の修正を指示するなど米大統領ならではの警備の厳重さがうかがえた。 「百聞は一見にしかず」。カメラ越しの動画では分からない周りの動きを知ることができ、貴重な機会になった。(坂本一之「ポトマック通信」)