塚原あゆ子監督『ラストマイル』チームと挑む端島の映像化「海に眠るダイヤモンド」で新たな挑戦
野木:実景で島のシーンを撮る際も、島そのものを探すのではなく、港や通りなど、パーツごとに必要な部分を探して組み合わせていると聞いて…これは本当に大変なことを始めてしまったなと。
塚原:今回の撮影現場での勝負は、CGを使いながら、いかにリーズナブル&スピーディーに進行できるか。通常は主体をグリーンバックで撮影して、後からCGを合成する手法を使いますが、それには時間も予算もたくさんかかる。連続ドラマの10本の制作スピードには到底間に合いません。なので、今回は現存の端島の寸尺に合わせてCGを先に作って、現場でその角度に合わせて撮影するという方法に挑戦。時間と予算の制約によって、これまで連続ドラマでCGを使ったダイナミックな映像制作を行うのは難しかったのですが、このやり方が上手くいけば、今後の新しい撮影手法の先駆けになるのでは…という淡い期待を込めています。ある意味新たなチャレンジ企画でもあるので、温かく見守っていただけたらうれしいです。とにかく野木さんが次々といろいろと書いてくるから大変で…(笑)。 野木:「とりあえず書いて」って言われるから、とりあえず書いてるんですよ!(笑)その上で塚原さんと相談はしてるし、かなり直してはいるんだけど…。
塚原:いつも美術部さんが新しく出来上がった台本を見るとき、まずは香盤表を広げて柱書きを確認するのですが、新しい柱書きが出てくると一度台本を閉じて天を仰ぎ、一息ついて「どこでやるんですかこれ…?」って(笑)。「…考えよう!」と言いながら、みんなで知恵を振り絞っています。でも、『ラストマイル』も同じチームで乗り越えたので、本作もなんとかなると信じています!
野木:台本は全て仕上がっていますが、現代に存在しない風景を生み出すために日本各地で撮影をしているので、効率的に進めないと時間が足りない。そんな厳しい撮影現場では、スタッフさんたちが映像を作るために奔走し、総監督の塚原さんが指揮を執りながら一丸となって制作してくれています。 小さな土地に高層ビルが立ち並び、当時、世界一の人口密度を誇った端島がどう映像化されるのか、私自身も仕上がりが本当に楽しみです。