【漫画家に聞く】人が住まなくなった山奥に「化けイタチ」がいたら? 不思議な世界観のWEB漫画が話題
日本の人口減少と出生数低下が止まらない。総務省によれば2023年の高齢化率は過去最高の29.1%、人口の半分が65歳以上の「限界集落」が問題となっている。そんなエリアを舞台に妖怪たちの営みを描いた不思議なSNS漫画が『化けイタチのロク』だ。 作者・古山フウさん(@fuu_furu)は、自身が住む地元が過疎地域に指定されたことから本作アイデアを得たという。上半身だけ化けられるイタチを中心に織りなされる、独特な世界観はどのように作られたのだろうか。その創作について話を聞いた。 ――本作を制作した経緯から教えてください。 古山フウ(以下、古山):雑誌「月刊コミックビーム」(KADOKAWA)で青年誌系の漫画を描いていましたが、新しく連載する媒体が少年誌系なので絵柄を変えた作品を準備しているんです。今までと作風が違うこともあり読んでもらえるか不安で、連載前のスピンオフ版として描き始めたのが本作でした。世界観やキャラクターが好きという声を結構いただいて、安心しましたね。 ――「化けイタチ」とは珍しいキャラクターだなと思います。 古山:化ける動物を調べると大体、狸か狐ですよね。あまり馴染みのないイタチで描いたらどうなるかなと考えたんです。また民話や民俗学が好きで、自分も民話のテイストの漫画を作ってみたいというのもありました。 ――不思議な世界観については? 古山:2年前に生まれ育った市へ戻ってきたら、同じタイミングで市が過疎地域指定されたんですよ。特に山深い場所という訳でもないので驚きました。自分が通っていた小学校も廃校の話が出ているようで、目に見えて人が減っているのを感じますね。住民は高齢化、家だけが残って10年~20年経ったらどんな景色になるんだろう……と考えざるをえません。 実際、車で走っているとボロボロな空き家も目に付いて、子供たちには「お化け屋敷だ」と言われているんですね(笑)。そんな人がいなくなった街や集落に、怖いお化けではなく親しみのある妖怪が住んでいたら面白いなと着想しました。
小池直也