稲盛和夫は"バーゲンの垂れ幕"を見て「俺は馬鹿だ」とつぶやいた…伝説の経営者が最も大切にしていたこと
■「360度評価」では世界に冠たる企業は作れない これまでの稲盛さんの言葉から分かるように、稲盛さんは、リーダーの人間性が一番大事だと確信していました。 そのため、リーダーをどのような観点から評価すればいいのかと聞かれたとき、「一番大事なのは人間性。清廉潔白、公平公正で、自分の会社を誰よりも愛していることが大切」なので、「人間性が50%、実績が30%、能力が20%」と答えていました。 能力が一番大事という人もいますが、稲盛さんは「人間性の高い人は自分の能力を高める努力を厭わないだけでなく、部下から慕われるので、組織全体の能力も高めてくれる」というのです。 人物評価の方法として、上司や同僚や部下などさまざまな立場の人が多角的に評価をする「360度評価」が流行ったことがあります。稲盛さんも「お互いがお互いを評価し、リーダーを評価するが民主的だと思ったことがある」と言っていました。 しかし、同時に「それでは穏便な、部下一人一人に都合のいい、居心地のいい組織を作ってしまう。馴れ合いと融和だけで評価するようでは世界に冠たる企業は作れない」とも話していました。 ■「誰からも信頼され尊敬される人間性」が必要 リーダーには、場合によっては、部下から嫌われても、困難な目標、高い目標を目指す強いリーダーシップが必要となります。しかし、それで部下の心が離れてしまえば意味はありません。 そのときに大切になるのが、誰からも信頼され尊敬される人間性です。それゆえ、リーダーを選ぶ基準は人間性であり、人間性を高める、心を高めるというのは稲盛さんのリーダー論の核心なのです。 稲盛さんは「心を高める。経営を伸ばす」と常に話していました。また、自分自身を振り返り、「心を高めようと努力を続けた日々だった」とも述懐しています。 心を高めようという努力を怠らず、誰からも信頼され、尊敬されるようなリーダーであれば、想像を超えるような高い目標であれ、他の会社であれば嫌がるような仕事であれ、社員は喜んで協力してくれるでしょう。 その結果として、困難を乗り越え、全員が物心両面において幸せになれるような会社になっていくことができるのです。