【何と“A.ランゲ&ゾーネ”も製造した】第2次大戦時のドイツ空軍向け軍用時計が「5」から始まる理由とは?
写真は1940年代にドイツ軍の要請によって製造された軍用時計のひとつである。1から12の数字ではなく5から55までの秒表示が大きくデザインされているのが最大の特徴だ。 【画像】爆撃機部隊用を現代に再現した5万円前後の3モデル! 2016年登場したロレックスのエアキングにも部分的とはいえ採用され話題を呼んだこの文字盤デザイン。もちろん現代においてはあくまでもデザイン的な意味合いのほうが強いが、1940年代にはあるミッションの際の実用性から考案されたものだったのである。 これは冒頭でも触れたように、第2次世界大戦時にドイツ空軍が使用した軍用航空時計のひとつで“Baumauster B”こと通称Bウオッチ(またはBウーレンとも呼ぶ)である。 写真の左がいまや世界的に有名なドイツ・グラスヒュッテの高級時計メーカー、A.ランゲ&ゾーネが手がけたもの。一方の右は同じくドイツ・フォルツハイムの時計メーカー、ラコによって製造された当時のBウオッチである。 驚くことにまったく同じ顔だ。これはすべて軍が規定したスペックシートに基づいて製造されたため、製造メーカーが違えども外装やデザインはすべて同じ仕様に統一されていたからだ。違いは、搭載されている手巻きのムーヴメント。顔は同じでもこれのクオリティによって実はランク分けされていた。 ほかにもドイツのヴェンペ、ストーヴァに加えて、唯一スイスメーカーのIWCも製造を担っている。 ではなぜ5から55までの数字が使われているのか。これはドイツ空軍の爆撃機のナビゲーター用に作られたもので、ある目的から“秒”を表す数字を大きく配置したこのようなデザインが採用されたのである。 当時、爆撃機が空爆を遂行する際に、事前に偵察飛行によって目標地点を正確に把握する必要があった。しかし、それ自体は夜間が多いため暗闇のなかでも秒単位で正確な経過時間と進路を記録しなければならなかった。 そのため秒単位での計測を優先して見やすいように秒表示を大きくしたというわけだ。そして当時のものは視認性を高めるためにケース径が50mm以上とかなり大きかったのである。 さてこの意匠だが、冒頭に触れたロレックスのエアキング以外にもミリタリーテイストの腕時計に採用されることがある。そこで今回は5万円前後と比較的に買いやすい価格の中から、以下の3モデルをピックアップしてみた。気になる人は最初に設けられた画像リンクから写真をチェックしてみてほしい! ・ラコ パイロット アーヘン39 ブラウシュトゥンデ 6万500円 ・アウトライン ミリタリーType1940 4万7300円 ・モントルルロイ AN 5740 マスター ナヴィゲーション ウオッチ 4万2680円 文◎Watch LIFE NEWS編集部