ふるさと納税ブームを静観する東京都「応益原則に反する」
「企業版」ならさらなる税収減に
さらに、地方創生を掲げる安倍政権では、ふるさと納税ブームに着目して「企業版のふるさと納税」創設の検討を始めています。 「国が企業版のふるさと納税を検討していることについては、承知をしております。制度の詳細はまだわかりませんが、応益原則に反するなど問題も多いと考えています」(東京都財務局財政課) いま自治体間で税収格差が顕著になっています。それだけに、政府はふるさと納税で格差の解消を図ろうとしているのです。 東京都は企業が多く立地し、法人税収も潤沢です。企業版のふるさと納税が創設されれば、都の税収がさらに減少することは間違いありません。 均衡ある国土の発展には、地方都市の発展は欠かせません。それだけに、東京に集中する“富”を地方に分散させようという取り組みは議論されるべきでしょう。しかし、単に都の潤沢な税収を地方に分配するだけでは、いつまで経っても地方都市の発展につながりません。すべての地方自治体が納得する制度にするのは難しい話ですが、単なる税金の奪い合いにならない制度を期待したいものです。 (小川裕夫=フリーランスライター)