電動ボード事故、法改正後6倍に 制度周知不十分、死者出る懸念も
電動キックボードの一部で運転免許が不要になった昨年7月の法改正以降、1カ月当たりの事故件数が6倍超に急増している。規制緩和を追い風に利用者が増えたが、新制度を知らないことが原因とみられる違反も。重傷事故も起きており、識者はルールの周知が不十分だとして「死亡者が出るような事故が起きてもおかしくない」と懸念する。 大阪市の繁華街・ミナミで今年2月の深夜、大阪府警が電動ボードの取り締まりを実施した。速度を制御せず電動ボードで歩道を通行した20代女性に交通反則切符(青切符)を交付。女性は取材に「歩道を走れると思っていた」と話した。 最高時速20キロ超のものは免許が必要のままだが、周知は行き渡っていない。名古屋市の路上で今年2月、最高時速25キロの電動ボードで歩行者をはねて重傷を負わせた運転手は「免許が必要と思わなかった」と話した。ウィーン工科大交通研究所の柴山多佳児上席研究員は「走行音が静かなので、気付かず接触した歩行者の打ち所が悪ければ死亡する可能性もある」と話した。