北海道内で急速に縮む交通網、市民痛手 札幌は5年でバス2割減 減る外出、通学は混雑
全道的なバスの運転手不足で、1日から道内5社が減便する。札幌圏では約300便のバスが減便となり、札幌市内の便数は5年前に比べ2割減となるなど、たたみ掛けるように地域の交通網が縮小している。人件費や燃料費の高騰を背景に、札幌市内では同日から、27年ぶりにバス運賃が30円値上げされ、家計への負担も増している。 【動画】冬のウポポイ照らす淡い光 イルミネーション 来年1月まで 札幌市内で唯一、JRや地下鉄路線がない清田区で暮らす鈴木亨さん(84)は「ダイヤ改正の度にバスが減る。タクシーもなかなか来ず、何で移動すればいいのか」と不安を抱える。 鈴木さんの自宅周辺では、12月から北海道中央バス(小樽)が11便を減らす。昨年12月の改正ではJR札幌駅前への直通バスが、中間地点の地下鉄駅までに短縮され、外出の機会も減った。鈴木さんは「地下鉄への乗り換えで料金がさらにかかる。高齢者にとって乗り換えで歩くのもゆるくない」とこぼす。 特に都市部の札幌圏では、多くの路線を維持するだけの運転手の確保が難しく、大規模な減便が相次ぐ。札幌圏では昨年12月に約350便、今年4月に約500便が減便した。12月にはさらに約300便減る。札幌市によると、23年の市内のバス運行本数(1日当たり)は7653便で、5年前の2割の1986便が減少した。