「常磐もの」再興へ、前を向き歩む県民 震災13年 道のり険しい東電福島第1原発の廃炉作業
厳しい経営環境の中、「常磐もの」の魅力発信に努める水産加工業者もいる。小名浜で「上野台豊商店」を営む上野台優(ゆたか)さん(48)は魚食離れが進む子ども向けの商品開発やブランド化などに力を入れている。地域の魅力を全国に広く発信し、「一人でも多く福島を応援してくれる人を増やし、風評に負けない地域にしたい」と前を向く。 原発事故の発生後、安全性を確認した商品が、東電の人為的なミスや食品の放射性物質検出が判明するたびに売れなくなった経験が記憶に残っている。いまだ先行きへの不安はぬぐえないままだ。それでも海洋放出後、全国の消費者の間で県産魚介類を応援する動きが広がった。自らの店でもネット注文などが増え、多くの人の支援の気持ちを肌で感じた。処理水放出が始まってしまったからには、複雑な思いを抱きながらも、「東電には緊張感を持って、安全に、着実に、廃炉作業を進めてもらいたい」と願う。 地域の農家や料理人らと手を携え、福島の良さを伝える料理や商品開発にアイデアを練ってきた。「福島の魚の魅力を伝え、地域の盛り上げを少しでも後押ししたい」と誓っている。
4日間の研修を終え、参加した記者の1人は「福島県ではまだ震災の影響が続いており、地域で頑張る人の姿などさまざまな面を知ることができた」と振り返り、「福島に足を運んでみてほしいと周囲に伝えたい」と語った。 ▪️JOD「#311jp記者講座@福島」 全国の地方紙などが加盟する「オンデマンド調査報道(JOD)パートナーシップ」が2月25~28日、福島県の浜通りで開いた。加盟社は福島民報「あなたとともに 福島特命取材班」をはじめ、読者とつながる報道に取り組んでおり、東日本大震災連携企画「#311jp」の一環として企画した。全国の20媒体から震災後に入社した記者が参加して取材した。