青森「弘前さくらまつり」 花見に備えて“訓練”も? 名産・リンゴの栽培技術で生み出される“大迫力”の桜絶景
日本列島を北上する桜前線が、いよいよ本州最北・青森へ到達した。 青森県弘前市の中心部に位置する弘前公園は、かつて弘前藩津軽氏の居城だった弘前城跡であり、全国的にも桜の名所として知られている。市公園緑地課には桜の管理専門チーム「桜守(さくらもり)」が置かれ、名産であるリンゴの栽培方法を応用した技術で保全に取り組むなど力を入れているが、弘前市の“本気”は、これにとどまらない。 【写真】“最長寿”推定樹齢140年以上のソメイヨシノ 桜の開花時期、人気の花見スポットは多くの人が集まることからトラブルが発生しがちだが、例年約200万人が訪れる弘前さくらまつりでは、安全な運営のため、市や警察が桜の開花前に“訓練”を行っているという。
一般的な桜よりも大きく、長寿なワケ
弘前公園の桜といえば、花びらが公園の外濠をじゅうたんのように埋め尽くす「花筏(はないかだ)」が有名だが、実は木々に花開く桜の“迫力”も大きな特徴となっている。 津軽地方ではリンゴを栽培する際、実を収穫しやすくすることと、日光を均等にあてることを目的に、枝が横に張るように剪定(せんてい)している。弘前公園の桜はソメイヨシノが中心だが、この技術が応用されることで、一般的な桜の木よりも大きく横に広がった形に成長しているのだ。 また、枝が横に広がることで、房に日光が行き渡るメリットも大きい。通常、ソメイヨシノはひと房につく花の数が3~4個のところ、弘前公園では5~7個もの花をつけるため、迫力ある枝ぶりとなっている。 さらに、弘前公園の桜はその寿命の長さも特筆すべきだろう。一般的に、病害虫に弱いソメイヨシノの寿命は60~80年と言われているが、園内には推定樹齢140年以上、樹高8.5mにもなる巨木をはじめ、樹齢100年を超えるソメイヨシノが300本以上も残っている。 長寿のソメイヨシノが一カ所にこれほど多く生育することは類まれだといい、これもまた、市が独自の方法で手塩にかけて木々を守り、育ててきたたまものだと言えるだろう。