オスプレイ運用再開、その相互運用性がもたらす対中国抑止力に目を向けよう
日米の相互運用性
昨年11月、鹿児島県屋久島沖で事故を起こし、空軍特殊作戦部隊の隊員8人が死亡した米軍のCV-22オスプレイ(Cは空軍機)が先月、再び運用されるようになった。 【写真】中国が仕掛けた静かなる空軍消耗戦 ここ日本では、この航空機の安全性に対する懸念が長く続いている。この懸念は、率直に言って見当違いである。この航空機は、特にそのユニークで重要な任務に照らして、驚異的な安全記録を持っているからだ。 さらに、オスプレイをめぐる議論において、事実よりもむしろその誤認が広がってしまうことには大きなリスクがある。中華人民共和国が猛烈なスピードで軍備の近代化を進める中、日米のようなルールに基づく国際秩序を守る国々がより緊密に連携することがますます重要になっている。その中国に対して日米のかたい意志と連携を示せば示すほど、海軍、空軍、ロケット部隊の能力を高めている中国からの侵略を、より効果的に抑止することができるからだ。 こうした日米同盟をアピールする上で重要なのは、相互運用性だ。日米両国が手を取り合って協力すればするほど、私たちの能力は高まり、部分の総和よりも大きくなる。このような相互運用性は、同盟を管理する人々、基地や装備を運用する人々、訓練を調整し実施する人々、そしてそのように、二国間関係について国民に教え、次世代を教育する人々の中に見出される。 装備品において、両国の相互運用性の素晴らしい実例がV-22オスプレイなのである。空軍、海兵隊、海軍の3つの米軍がこの航空機を運用している。オスプレイを運用する陸上自衛隊、日米のオスプレイ、将来、他の同盟国や友好国のオスプレイも着艦する海上自衛隊の護衛艦も同様である。
オスプレイ・プライド
私の見解がオスプレイ寄りであることは臆面もなく認める。私は2012年と2013年に米海兵隊のMV-22(Mは海兵隊機)の日本への導入に深く関わった(拙著『オキナワ論』新潮新書、2016年ご参照)。これは、東日本大震災被災地への救援活動のトモダチ作戦や地域社会との関係改善における私の努力とともに、私が在日海兵隊と関わった最も重要な仕事の一部だと考えている。 オスプレイには数え切れないほど乗ってきたが、どの飛行も大変良い思い出を持っている。パイロットの献身的な訓練を見るために、夜間飛行を希望したこともある。そして私は、日本の政府関係者、政治家、メディア、地元のリーダーたちのためにオスプレイの飛行を何度も手配し、オスプレイが沖縄に到着して間もないころには、何百人もの地元の一般市民やメディアにオスプレイを披露する特別なイベントを自ら企画した。 オスプレイを誇りに思う理由はたくさんある。事故率の低さは一つであるが、この重要な事実に加えて、オスプレイの能力は注目に値する。 V-22は従来のヘリコプターのように垂直離着陸を行うが、ターボプロップ機のように操作すれば長距離を高速で移動することができる。実際、同機はハワイからオーストラリア、ノースカロライナからスペインまで、長距離の自力展開が可能だ。 つまり、前身のCH-46シーナイトとは異なり、運ぶための船舶や燃料補給のために地方空港に頼ることなく、自力で訓練や長距離配備が可能だ。これによって配備している沖縄を離れることができるため、いわゆる「県内負担」の軽減に役立っているのだ。(「負担」を軽減する方法は他にもある。詳しくは拙著『An Alliance Asset』をご覧いただきたい) V-22オスプレイは、耐腐食性コーティングや船上保管用のブレードの折り畳みなど、世界で最も過酷な環境での運用や、船上での運用を成功させるために設計されている。 オスプレイは、当然のことながら他のどの航空機よりも戦地司令官からの需要が高く、航空機動性と適応性においてゲームチェンジャー的な優位性を提供する。 日本と米国にとって、V-22オスプレイは戦力投射と防衛作戦の両方に新たな機会をもたらす。滑走路が不要という独立性は、遠隔地から都市の回廊、島の前哨基地、海上の船舶はもちろんのこと、2013年秋にフィリピンで発生した超大型台風ハイヤンや、今後発生するであろう南海トラフ地震や東海地震、津波のような災害地帯に至るまで、不毛で型破りな着陸帯へのアクセスを可能にする。 このような災害対応シナリオにおいて、V-22オスプレイは、他の航空機が到達できない遠隔地からの救命援助や生存者の避難を迅速に行う上で、大きな利点を提供する。V-22オスプレイはまた、陸上または船舶の医療施設への迅速な医療避難を可能にする。私たちは、V-22オスプレイがハイチの地震、プエルトリコのハリケーン、フィリピンを含む多くの島嶼環境でこのような任務を遂行するのを見てきた。