米国株の人気銘柄、「ある日突然」ショックのリスクも-JPモルガン
(ブルームバーグ): 5カ月にわたる米国株上昇の終わりを告げるサインは何だろうかと、JPモルガン・チェースのドゥブラフコ・ラコスブハス氏に問えば、こう答えるだろう。投資家はその兆候に気づかないかもしれない。
世界株式チーフストラテジストのラコスブハス氏は27日に顧客に対し、モメンタムトレードがいずれ行き詰まった時に「不利な側に取り残される」恐れを警告し、保有資産の分散とポートフォリオのリスク管理検討を勧めた。またパフォーマンスの高い銘柄への投資が過剰に混雑していることが、差し迫った調整リスクを高めるとあらためて警鐘を鳴らした。
同氏はウェビナーで、「それはある日突然やってくるかもしれない。そうしたことは過去にもあり、フラッシュクラッシュが起きた」とし、「ある大規模ファンドが一部のポジションを巻き戻し始めると、それを聞いた2番目のファンドがポジション調整に動き、3番目のファンドは要するに不意を突かれ、そして気づけば、どんどん大きな勢いでポジションが解消され始める」と述べた。
S&P500種株価指数は1-3月(第1四半期)に入って約10%のリターンを記録しており、5カ月連続の上昇となる方向だ。企業業績は好調さを維持し、人工知能(AI)ブームは拡大が続いており、米経済は引き続き健全で、米金融当局は年内に利下げする意向を示唆している。
だがラコスブハス氏にとって、このリストこそ懸念材料だ。
業績や米金融当局への期待、加えて市場が好感するだろうとされるトランプ前大統領返り咲きの可能性など、「多くの好材料が織り込み済みだ」と指摘。さらにエヌビディアやAI技術革新の見通し以外には、上向きのサプライズの材料はほとんどないとみている。「想定外の好材料がますます限定的になる一方、こうした背景に潜むリスクは増えている」と強調した。
原題:JPMorgan Says Crowded Stocks Sow Risk of ‘Out-of-the-Blue’ Shock(抜粋)
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Alexandra Semenova