広告写真としてもアート写真としても超一流! 伝説のファッション・カメラマンがジョルジオ・アルマーニと歩んだ44年
ぜひ日本でも開催を!
1970年代より、ジョルジオ・アルマーニの広告写真を手掛けてきたアルド・ファライ。その展覧会が、イタリア・ミラノで開催されている。 【写真5枚】ハイブランドの広告写真は時代を映す鏡ですね! ◆長期間にわたる異例の協業 この名前を知らなくとも、彼が手掛けた写真を、雑誌や街頭のポスターで見かけたことのある人は多いはずだ。 1943年、イタリア・フィレンツェに生まれた、ファッション・カメラマンのアルド・ファライ。1970年代より、数々の広告に携わってきたファッション写真界の大御所だが(実は創刊号からエンジンの表紙も何度か撮影している)、その最も有名なものが、44年間にも及ぶ、ジョルジオ・アルマーニとのコラボレーションである。著名なデザイナーとカメラマンのコラボレーションは数あれども、これだけ長期間にわたる協業は、少なくともファッション界では類を見ない。 昨年12月よりミラノの展示スペース、「アルマーニ / シーロス」で始まった『Aldo Fallai for Giorgio Armani, 19 77-2021』は、そんな二人の輝かしきコラボレーションの歴史を伝えるエキシビション。モノクロームを中心とした250点もの写真が、ランダムに、2フロアで展示されている(2024年8月11日まで開催)。 「アルドと仕事をすることで、私の頭の中にあるビジョンを具現化することができました。私の服が色や素材を用いたただの作業で作られているだけでなく、生き方を表現しているのだということを伝えるためです」というのは、アルマーニ氏ご本人。たとえば上にある、1984年から85年のブランド・キャンペーンの写真。まるで1950年代の映画のワンシーンのようなクラシックな雰囲気を纏いながら、人混みの中でまっすぐに前を見つめるスーツ姿のモデルの表情からは、確固たる自分を持った自立した女性の力強さが感じられる。 一方、花束を抱えた青年の写真が発表されたのは1993年。その写真からは、既存の概念にとらわれることなく、しなやかでセクシーなライフスタイルを謳歌する、自由な男性の姿を想起させる。 ファライの写真は、被写体となった男女の内面や、背後にある物語を連想させながら、移り変わる時代の感性や人々の生き方を表現する。それは先ほどの言葉通り、ジョルジオ・アルマーニがデザイナーとして長年、表現し続けてきたもの。まさに相通じ合う、2つの才能が融合して生まれたのが、これらの写真なのだろう。 ■「Aldo Fallai for Giorgio Armani, 1977-2021]」は「アルマーニ / シーロス」(Via Bergognone, 40 Milano, Italia)で2024年8月11日まで開催中 文=永野 正雄(本誌) (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部