「#MeToo運動」の勃発から7年、被害の発生率には変化なし
セクハラや性的暴行などの性犯罪被害の体験を告白し、共有するムーブメントの#MeToo(ミートゥー)が世界を席巻したのは2017年後半のことだったが、それから数年を経た今も、米国における性的暴力の発生率には、ほぼ変化が見られないことが新たな調査で判明した。#MeToo運動は、この問題についての認識を高め、法的保護の改善に役立ったが、その効果は限定的だった模様だ。 ルイジアナ州のテュレーン大学の研究者が、2018年に実施した#MeTooに関する調査を今年改めて行った結果、過去6年間の性的ハラスメントや暴行の発生率に変化が見られないことが判明した。 2018年の調査では、女性の81%がハラスメントや暴行の被害を受けたと報告していたが、2024年の調査でもこの数字は82%と、ほぼ同じだった。また、男性からの同様の報告も43%から42%に変化したのみだった。 この研究はまた、25歳から34歳の男女が経験するハラスメントや暴行の件数が増加したとも報告している。それによると、最も一般的なハラスメントは、言葉によるもので、全体の54%が何らかの時点でそれを経験しており、次いで身体的なハラスメントが42%、デートの強要や性的脅迫が38%、サイバー空間におけるハラスメントが24%を占めていた。 また、性的ハラスメントが公共の場で見知らぬ他人によって行われることが最も多いのに対し、性的暴行は主にプライベートな空間で発生し、加害者が被害者の知人である場合が多いことも指摘された。 「この結果は、さまざまな分野でこれらの問題に対処するために、より大きな取り組みが必要であることを示している。また、近年におけるこの問題の認知度の向上や法的保護の改善が、この問題の改善に効果を及ぼすには不十分であることも示された」と研究チームは述べている。 一方、テュレーン大学の研究者らは、#MeTooムーブメントの発生以降に、人々の性的ハラスメントに対する態度や、職場でのこの問題に対処するための法的保護が改善されたと指摘した。このムーブメントの開始以降の6年間で、25州が80以上のハラスメントと戦うための法案を可決しており、その多くは被害者の保護を拡大し、時効を延長することに焦点を当てている。しかし、法的保護が増えたにもかかわらず、職場でのハラスメントの発生率には、有意な変化が見られなかったと研究チームは述べている。 #MeTooというフレーズは、2017年10月のニューヨーク・タイムズ紙の記事で、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが数多くの女優や従業員にセクハラや性暴力を行っていたことを暴露されたことを契機に世界に広まった。女優のアリッサ・ミラノが、「被害に遭ったすべての女性が『Me too(私も)』と書き込めば、この問題の大きさを人々に知らせることができるのではないだろうか」とSNSで呼びかけたことがきっかけで、#MeTooのフレーズは被害者たちに団結を促すことになった。
Mary Whitfill Roeloffs