孤独を愛する年収690万円・貯金4,000万円の独身男性、事故物件の隣室に住まう徹底ぶりも…齢49歳、「最高のおひとり様人生などない」と悟った瞬間【FPが解説】
突然の病気
Aさんが47歳のある日、職場の廊下で突然体調が悪くなり倒れてしまったのです。幸いすぐに同僚が発見し救急車で病院に運ばれました。 診断は脳卒中でした。1ヵ月ほど前から強い頭痛やふらつきがあったものの放置していたようです。 北海道から兄とその妻が駆け付けてくれて、入院中の身の回りの準備や職場への連絡などをやってくれました。これまでいい加減な扱いをしてしまった兄夫婦に対して深く感謝すると同時に、Aさんは今後の人生を考えるきっかけになったのです。 運よく後遺症はありませんでしたが、2ヵ月の入院が必要でした。医療保険には加入していませんでしたが、Aさんには潤沢な貯蓄があったため問題ありませんでした。 退院してからひとり暮らしを続けることに義姉はいたく心配していましたが、仕事も復帰するつもりなので仕方ありません。しかしいままでと同じような生活が難しいと知るのはすぐでした。 まず日々の食事の準備が難しいのです。家のなかで調理はできるものの、外出することに不安感があります。退院時期が真冬だったためヒートショックを起こすのではないかと不安になるのです。 職場には発症から半年後には復帰する予定にはなっていましたが、それもできるかどうか不安です。同僚との人間関係を粗末にしてきたといっても過言ではないため、周囲のサポートが得られるのかどうか、自信がありません。 もし自宅内で再発し亡くなってしまったら、自分も隣人と同様に放置されて孤独死するのではと想像してしまいます。 兄も同じように考えたらしく仕事をやめて北海道に戻ってこないかと言いましたが、北海道で転職をしていまと同じ年収を得ることは不可能に近いはずです。そもそも大病を経験した自分を地元の中小企業が採用するとは思えません。自分が採用担当者だったら、きっと避けるだろうと思いました。 バイクや旅行、筋トレなどの趣味も当面できそうにありません。Aさんは仕事復帰への不安を抱え、思いつめるように自宅でひとり療養を続けていました。 Aさんが不安の思ったのは次のようなことです。 ・仕事が続けられなくなった場合、生活していくお金はあるのか ・現在の賃貸住まいで今後大丈夫なのか、持ち家を買うべきか ・今後の医療費はどうなるか ・再発し障害を負ったらどうなるか このような金銭面での不安のほかに、Aさんは深い孤独感を味わうようになりました。「結婚していたら、少なくとも交際する人がいたら、不安を吐露できる場面もあったのかな……」と思うのです。 とりあえずは、金銭面の問題を解決するためにもFPに相談してみることにしました。