奥能登豪雨「激甚」に 首相、輪島と珠洲視察で表明 廃棄物処理、地震と一体
●発生から2週間 石破茂首相は奥能登豪雨の発生から2週間の5日、輪島、珠洲両市を訪れ、豪雨や能登半島地震の被災状況を確認した。視察に同行した馳浩知事に対し、豪雨被害を復旧事業の国庫補助率が上がる「激甚災害」に指定する意向を表明。元日の地震に続く指定で、災害廃棄物処理に関しても、地震と豪雨の被害対応を一体的に行う方針を示した。 石破首相の地方視察は就任後初めてで、馳氏から復旧・復興支援に関する要望書を受け取った。報道陣に対し、「心が折れてしまいそうな人に、もう一度頑張ろうという気持ちを持っていただくため、最大限支援する」と述べた。 激甚災害指定は、地域を特定しない「本激」とする方向だ。奥能登豪雨をはじめ、9月20日以降に全国各地で確認された大雨被害が対象になるとみられ、河川、道路などの公共土木施設や農地などの復旧事業の国庫補助率を1割程度引き上げる。 ●農機具の二重被災に特例 首相は、今回の豪雨により、地震で損傷して買い換えた農機具が再び壊れる被害も出ていると説明。農林水産省と協議した上で、制度改正も含めて特例的な対応を検討するとした。 さらに復旧工事の加速化のため、首相は県による対応が難しい河川災害、土砂災害については、県に代わって国が緊急復旧を行うよう国土交通相に指示する意向だ。4日には能登地域の被災地対応に万全を期すとして、10月中旬をめどに追加の予備費措置を講じるよう関係閣僚に指示した。 地震では過酷な避難生活が続いたことから、避難所の環境改善が課題となっている。首相はコンテナ型のトイレや段ボールベッド、暖房器具などの備蓄体制の整備を急ぐとした。今後の経済対策で、備蓄に関する先進的な取り組みを行う自治体を支援する。 首相は内閣府防災担当の人員と予算を飛躍的に向上させ、防災庁設置へ準備を進める考えも強調。被災地で自らも被災しながら復旧、復興業務に当たる自治体職員の負担軽減につなげるとした。 首相は自衛隊機で能登入りし、豪雨被害が甚大だった輪島市久手川(ふてがわ)町や珠洲市大谷町などを視察。避難所や仮設住宅も見て回った。 この日は立憲民主党の野田佳彦代表、公明党の石井啓一代表もそれぞれ能登入りし、被災地の状況を確認した。 ★激甚災害 国民経済に著しい影響を及ぼし、被災者や自治体に特別の支援が必要な災害。政府が激甚災害法に基づき指定する。被災自治体のインフラ復旧事業などに対し、国の補助率をかさ上げする。地域を特定しない「激甚災害(本激)」と市町村単位で指定する「局地激甚災害(局激)」がある。