恒例の人気単独ライブ「百式2024」を前に取材に応じた2丁拳銃（撮影・松尾幸之介）

＜ニッカンスポーツ・コム／芸能番記者コラム＞ 　11月に恒例の100分間ノンストップ単独漫才ライブ「百式　2024」を東京、大阪、福岡の3都市で開催する2丁拳銃にインタビューした。 　共に50歳、合わせて100歳となる最初で最後の「50－50」の節目。まだ関西からの東京進出がメジャーでなかった時代に“上京”を果たした2人で、当時のいきさつやその後の歩みを語る姿にはとても興味深いものがあった。 　「百式」は02年からほぼ毎年開催して23年目。00年の東京進出直後から続ける恒例イベントだ。大阪ではデビュー直後からテレビ番組出演やCDデビューなども果たし、97年「NHK新人演芸大賞」や98年「上方漫才大賞新人奨励賞」を受賞。今はNMB48劇場に生まれ変わった若手芸人の拠点劇場「baseよしもと」の人気芸人として活躍した。 　当時はまだ吉本も東京へ拠点を移す芸人をあまり容認していなかった時期だったが、00年に上京を決断。川谷修士は「まだダメって言われていた時だったんですけど、（相方の）小堀がすごい行きたいって言って。むちゃしすぎましたね」と語り、小堀裕之も「大阪でやることがなくなったって思ってしまっていたんですね」とやや反省気味に振り返った。 　ほぼ“勢い”で向かった形で乗り込んだ東京で、嫌な予感は的中した。テレビ番組などでは納得のいくインパクトの残せない日々が続き、M－1グランプリでも思うような結果が出ない。「実力不足ですね。飛び込んでみたものの、次第に出られなくなっていく。『これができる』と思って行ってみたんですけど、まあ受け入れられなくて。まだまだ甘いなと。テレビでもステージでも痛感していました」（川谷）。 　当時はテレビがひな壇全盛期でもあった。小堀は「手を挙げて大きい声でおもろいこと言わないといけない。何それ？　って思っていたんですよね」と正直な心境も明かし、「そうしたらどんどんハマらなくなっていきましたね。向いてなかったのかなあ」とこぼした。 　粘りの東京生活の中で、M－1グランプリ出場権のラストイヤーとなった03年に初めて決勝進出。4位に終わり「これからも漫才をやり続けないといけないと強く思いました」（川谷）。以降は「百式」をはじめとする舞台活動に注力するようになり、ほかにも川谷は演技、小堀は音楽など、ピンの活動も行うようになった。 　そんな上京生活も25年がたつ。川谷は「こっちに来てからの方がずっと苦労しています。同じく上京してきた後輩の千鳥、麒麟、ダイアン、かまいたちとかは若い時からちゃんと苦労して、そこから上がってきている。東京でも足場を固めていて、尊敬していますね」と語る。小堀も「最近は後輩がえらい元気でしっかりしてきていますね」と語り、「自分は若い子にイジられたいなとも思っていて。ちょっとバカにされたいというか。でも芸人ってしっかりリスペクトしないとイジってこないと思うんですよ。そういう意味で説得力を持ってはいたいんですけど、僕はぐずぐずな人間なので。でも、後輩にはイジってねと思いながらコーナーとかには出ています。最近は若手よりも一番大きい声を出すように意識したりもしていますね」と話した。 　小堀は吉本入りを目指す息子、響己とのコンビ、ヘドロ一家として今年のM－1にも出場中だ。「来年、NSCに入りたいって言っていますね。もう面接もしたって聞きました。今年はM－1で（最高の）3回戦以上を目指すと息子は言っています。教えられることもあると思いますし、こうした経験も百式に役立てられたらという思いもあります」と力を込めた。 　舞台に力を入れてきた東京生活だが、まだテレビ出演などを諦めたわけではない。川谷は「もっとテレビにも出て行きたいですよ。自分らは令和ロマンみたいな感じではないので」と笑いつつ「自分は演技にもまた力を入れたいなと思っているので、ドラマや映画とかにも出させていただけたらいいなと思って頑張っています」。 　「百式」では新ネタを交えたステージを用意予定。川谷は「漫才にかけてよかったなと。死ぬ時にそう思いたい」といい「究極の漫才はその人たちの人間味が出てこないとやっていけないんだなと思うんですよね。それをどう出していくか。中川家さんなんかは30代くらいからもう人間味出てましたからね。すごい漫才でしたから。生で見るすごさを追求していきたい」と意気込んだ。 　小堀も「最近はライブのトリをとらせてもらうことも多くなりました。昔から言っていますけど、このライブでお客さんに俺らにナンボ払ったことにしてもらうか。その取り分を多くしないといけない」と引き締め、「50歳の遊び方だったり、慣れてきたところもあって。ホンマにみなさんに見ていただいて、かわいらしいおっさんやなと思ってもらえたらうれしいです」と呼びかけた。【松尾幸之介】 　◆2丁拳銃　小堀裕之（こほり・ひろゆき）1974年（昭49）1月9日生まれ、奈良県出身。川谷修士（かわたに・しゅうじ）1974年（昭49）5月17日生まれ、兵庫県出身。NSC大阪校12期で93年6月結成。過去には「キングオブコント」出場歴もある。