「家族が死ぬ…」おはらい装い窃盗、中国人グループ暗躍 金品すり替え被害1億2千万円超
同様の手口による事件は昨年10月以降、30件以上発生し、被害総額は1億2千万円を超える。全国で複数のグループが活動しているとみられ、捜査関係者は「被害申告がないケースも多々あるとみられ、実態はもっと大きな被害があるだろう」と推測している。
■米国では「祝福詐欺」、手口は日本と酷似
街行く人に声を掛け、応じた中国語話者の善意につけこみ金品を盗む事件は、米国でも発生している。現地では「祝福詐欺」と呼ばれるが、被害者に「呪われている」と不安をあおるなど、手口が日本と酷似している。
今年3月、事件が起きたのは、米カリフォルニア州の都市・サンフランシスコ。地元メディアのサンフランシスコ・スタンダードによると、中国系移民の女性が中国語を話す女3人から、道端で次々に「家族全員が呪われている」「悪霊を浄化してやる」などと言い寄られた。さらに「祝福の儀式」を行うため、自宅から貴重品を持参するよう指示された。
女性は5万ドル相当の金塊などを持参して袋に入れたが、儀式の最中に別の袋とすり替えられた。こうした手口は儀式の内容から「祝福詐欺」と呼ばれ、新型コロナウイルス禍が落ち着いた以降から増加しているという。
同メディアは、こうしたグループはターゲットを探して米国内の中国人コミュニティーを巡回しているとも指摘。米ニューヨーク・タイムズ紙も2016年、ニューヨーク市ブルックリンで中国系移民が同様の被害にあったと報じている。
日本の警察関係者は「米国と日本のグループが同一かどうか分からないが、あまりにも手口が似ている。今後、外国の捜査機関と情報共有し、実態解明を進めていく」としている。(鈴木文也、藤木祥平)