支える人たち/上 選手に自ら工夫させる /京都
<第91回選抜高校野球 センバツ高校野球> 目前に迫ったセンバツへの出場に向け、胸を膨らます選手たち。夢舞台への切符をつかむまでには、彼らを支える人たちの力が欠かせなかった。 ◇ ◇ 福知山成美野球部は、3年生が抜けた後も63人の部員を抱える大所帯。その部員たちを、井本自宣監督(45)をサポートして技術指導から健康管理、生活面まで目を配るのが部長と4人のコーチだ。 監督を含め全員が同校の教職員。有田龍大部長(31)は平安高(龍谷大平安)野球部出身で、責任教師の役割を担う一方、自らもノックバットを持ってボールを誰よりも高く放ち捕手を鍛え上げる。 元佛教大野球部監督で8年前に福知山成美の教諭となった藤原孝仁コーチ(51)は投手陣の心の支え。「考える力も野球に必要」と勉強面でも尻をたたく島本省二コーチ(52)と共に、選手たちの重し役にもなる。 事務職員の藤原健太コーチ(37)は福知山成美の前身、福知山商業が1999年に初めて甲子園に出場したときのエース。4年前に新任教諭として着任した広田雄介コーチ(26)は年齢が一番若く、選手たちにとって兄貴分的存在だ。 多彩な陣容だが、共通認識は「選手を型にはめない」。5年前まで福知山成美を率いて春夏6回甲子園に導いた前任の田所孝二監督(59)時代から受け継ぐ指導方針。見守られながら、選手たちは自ら工夫して激しい競争からはい上がり、精神力も強くする。そのことを、前監督をコーチ、部長として支えた井本監督が誰よりも知っているからだ。【佐藤孝治】 〔丹波・丹後版〕