KERA CROSS新シーズン始動!河原雅彦演出『消失』
ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が送り出してきた数々の戯曲を、注目の演出家たちが手掛けるシアタークリエ5作連続上演シリーズ「KERA CROSS」。 2019年から始まったこのシリーズは、昨年の『骨と軽蔑』で5作を完遂したが、劇場を変え、新たなシーズンとして2025年からもシリーズの継続が決定した。 新シリーズの1作目は『消失』。KERAが主宰する劇団「ナイロン100℃」の代表作のひとつと言える作品だ。みのすけ、大倉孝二、犬山イヌコ、三宅弘城、松永玲子、八嶋智人のキャストで2004年に初演、2015年には同キャストで再演されている。 KERA作品の中でも、人気の高い作品の一つで、国内大小の劇団で上演が重ねられるほか、2017年、2018年、2022年と韓国でもイ・ウンヨン氏の演出により、韓国版として上演された。 物語の舞台はいつの時代とも知れずどこの国とも知れない。その家には、はるか昔に両親に出て行かれたきりお互いを頼りに生きてきた兄弟が住んでいた。 クリスマスの夜、弟が想いを寄せる女性を迎えて楽しい一夜になるはずが、ちょっとした誤算からその計画はもろくも崩れ去ってしまう。闇医者、家を間借りにきた女、ガス修理業者、兄弟の家に集まった6人の“善意”がかけ違い、彼らが築き上げてきた日常を破滅へと導いていく。 演出はKERA CROSSシリーズ第三弾で『カメレオンズ・リップ』を演出した河原雅彦。 2022年『室温』以来、KERA作品3作目の演出となる河原は、「笑いの要素を含みながらも、この世界の住人が抱えているジリジリとしているテイストがとても好きで。センシティブでやりがいのあるこの作品を選ばせてもらいました。力強いキャストとともに楽しく試行しながら魅力のある舞台の立ち上げを目指します。」と演出への意気込みを示している。 キャストは、芸人としてだけでなく様々なフィールドで活躍する藤井隆のほか、入野自由、岡本圭人、坪倉由幸、佐藤仁美、猫背椿と多彩な顔ぶれがそろっている。 新たなシリーズがどのようなスタートを切るのか、楽しみにしたい。 舞台 KERA CROSS 第六弾 『消失』 作/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出/河原雅彦 出演/藤井 隆 入野自由 岡本圭人 坪倉由幸 佐藤仁美 猫背 椿 Text:Reiko Nakamura