シスメックス"手術支援ロボ"売上1000億円超へ描く道筋
13億円を10年で1000億円超に
シスメックスの手術支援ロボット「hinotori」の操作風景(撮影:ヒラオカスタジオ)
「手術支援ロボット『hinotori(ヒノトリ)』の販売で2030年度に売上高1000億円という目標へ、かなり手ごたえがでてきた」 こう語るのはシスメックス(6869)の浅野薫・取締役専務執行役員CTO(最高技術責任者)だ。国産初の手術支援ロボットであるヒノトリは、シスメックスと川崎重工業(7012)が合弁で設立したメディカロイド社によって開発された。浅野CTOはメディカロイド社の社長も務める。シスメックスはヒノトリや消耗品の販売を担っており、販売マージン(手数料)などを含めれば、シスメックスとしては2030年度に1000億円以上を目指せる計算だ。 ヒノトリは、大きく分けて4本のロボットアーム部分を備える手術台と、医師がアームを操作するコックピット部分から構成される。アームには8つの関節があり、人間の腕以上に可動域が広く、細かい正確な動きをしやすい。アームに取り付けた鉗子や内視鏡カメラを、患者に開けた小さな穴から挿入し、手術を行う。手術支援ロボットを使った手術は、開腹手術に比較して出血が少なく、入院期間を短縮できる利点がある。 シスメックスの主力事業は血液検査などの検査装置と、検査に使用する試薬の販売だ。検査のたびに必要となる試薬で継続的に利益を得るリカーリング(継続課金)のビジネスモデルに強みがある。この検査装置と試薬の販売が売上高のほとんどを占める中、手術支援ロボットの販売を含むメディカルロボット事業の2022年3月期の売上高は、約13億円と全社売上高約3637億円の0.4%程度にすぎない。 だが2023年3月期には、同事業の売上高を前期比約5.4倍の70億円と強気の目標を掲げる。
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大竹 麗子