3割しか出場できない県大会を目指して…愛知の進学校・名古屋南“熱すぎるキャプテン”が語った夢 【野球部訪問】
本気で勝ちたいと思うチーム作り、環境を後輩たちに残していきたい
昨夏は2回戦で敗れ、昨秋の一次予選でも敗退。最終学年となった加藤は、チームの目標に「春は県大会出場」「夏はベスト16入り」を掲げた。 ここで県大会に出場するためのルールを説明しておこう。一次予選はリーグ戦形式。 1位校は自動的に県大会出場が決まり、各ブロックの1位校によるトーナメントが行われ、名古屋地区の場合はベスト4入りすれば、県大会では2回戦スタートのシードが与えられる。 2位校は、2位同士のトーナメントに出場し、その予選を勝ち抜けば、県大会に出場できる。22年秋、名古屋南は一次予選で2位となり、二次予選で旭丘、名城大附を破って県大会出場したのだ。 加藤は県大会出場にすること、勝ち続けることの大事さを選手たちに説いている。 「主将の自分から見ても、みんな頑張っていますし、特に1年生たちは能力が高い子たちが多いと思っています。 1年の時、県大会出場したことで、僕からすれば、今まで見たことがない景色が見えました。 基本的に愛知の地区予選はリーグ戦。1回負ければ次があるととられている選手もいるんですけど、自分たちは1回負けた時点でそのチャンスがなくなるんです。僕が県大会出場したときも全部勝ちを掴まないといけない状況の中で先輩たちが勝って県大会出場できたので。 勝った時の達成感は違いますし、後輩たちにもっと見せてあげたいと思っています」 力強く語る加藤だが、新チームがスタートした時、主将を務められるか不安な時期もあったという。それでも続けてこられたのは、仲間たちの励ましがあったから。 「みんなが『加藤だったらついていくよみたいな』と言ってくれたので、全力でやろうと。 世間一般のキャプテン像はいったん捨てて、自分の中でもう1回キャプテン像を作り直そうと考えました。 同じ2年生6人が全員で話せる仲ですし、みんなを信用して、各部門のリーダーに据えた方がずっとやりやすいと思いました」 チームはいま、投手部門、打撃部門、守備部門にわかれている。2年生はその部門のリーダーとして各ポジションの課題を語りながら、上達を目指す。 「自分たちは、残り春と夏しかない。僕の役割は、2年生たちと協力しながら勝てるチームの要素、環境を1年生たちに残すことです」 チームを作り、次世代に引き継いでいく。加藤のような男たちが、今の日本の高校野球を作り上げていったのだろう。 高校野球を支えているのは、熱い思いを持った球児たちだ。 取材・文/河嶋宗一(編集部主筆)