障碍者にやさしい社会はきっとわたしたちにもやさしい 「移動の自由と可能性をすべての人に」トヨタ・モビリティ基金を応援したい
■技術の力で「移動」のハードルを下げる
今回紹介していただいたのは上述の「ウィーログ」と、高性能電動車いす「ハイネル」を開発する「株式会社コボリン」の2団体。 「特定非営利活動法人ウィーログ」は、バリアフリーマップを提供するアプリ「WheeLog!」を開発、運営する団体。公共施設(駅やサーキット)のトイレや駐車場、観客席の3Dマップをユーザーが投稿できるアプリで、「ここは車いすで行けるか」、「行けたとしてどんな具合か」のデータが蓄積され、参照することができる。 3Dマップ上に車いすのアイコンを置いて(スマホ上で)周囲の景色や「動かし方」を参照できるため、事前の準備が格段に楽になる。 「株式会社コボリン」が提供するのは、姿勢を比較的自由に変えることで長時間座り続けることができ何かに熱中できる超電動車椅子「ハイネル」の開発、製造、販売。この車いすは「一般的な車いす」と「電動ベッド」の中間的な存在で、(電動で前後左右に移動できるだけでなく)車いす上で使用者が「側屈(下半身に対して上半身を真横に傾ける動き)」や「回旋(下半身を固定して上半身をひねる動き)」や「伸展(筋肉を引っ張って伸ばす動き)」などが可能となる。 車いす上でストレッチすることが出来るため、長時間の移動や観戦へのハードルを低くすることができる。 一般的な高性能電動車いすは300万円程度(行政により約半額の補助が出る)で、「ハイネル」はそれよりも高額となりそうだが、量産化することで価格を下げつつ高性能化を目指したいとのこと。 このほかにも多くの団体が富士スピードウェイに集まり、多くの観客に取り組みを紹介していた。高齢化社会は着々と進んでおり、モビリティのかたちもモータースポーツの観戦スタイルもそうした社会に合わせて進化する必要がある。そしてこうした進化は、寄せられる関心や支援の声によって早めたり方向を変えたりすることができる。 なるべく早く強く、よき方向へ進むべく、こうした取り組みは積極的に応援したい。高齢者や病気の人、障がい者の方々にとってやさしく住みやすいモビリティ社会は、きっとそうでない多くの人たちにとってもやさしく住みやすい社会であるはずだから。