伝統の「撫川うちわ」作りに新風 職人3人に 岡山市の工房で最盛期
岡山県郷土伝統的工芸品「撫川うちわ」の制作が、岡山市の工房で最盛期を迎えている。この3年間は職人の高齢化で作り手が保存会の2人だけだったが、今季は公民館講座で経験を積んだ1人が加わり、伝統の技に新風を吹き込んでいる。 定年後の趣味にと7年前から地元の講座に通う石原良章さん(69)=同市北区=が培った技術と温厚な人柄を見込まれ、春から保存会「三杉堂」の平松龍四郎会長(83)=同、工房を持つ石原文雄さん(86)=同=と一緒に作業。和紙に絵を付けたり、竹の骨組みに和紙を貼り合わせたりして一本一本仕上げている。 良章さんは「まだまだ力不足だが、難しいからこそ面白い。2人のレベルに近づき、伝統を継承できたら」と意気込んでいる。 撫川うちわは俳句を雲の模様のように一筆書きする「歌つぎ」と、光にかざすと絵柄が浮かび上がる「すかし」が特徴。江戸時代に三河国(現愛知県)から伝わり、岡山市北区撫川地区などで作られてきた。