草なぎ剛「ブルースのギターマンになるのが夢」 音楽にも芝居にも「グルーヴ」を意識
5月17日から公開される白石和彌監督の新作「碁盤斬り」に浪人・柳田格之進役で主演を務める草なぎ剛さん。現場に必ずギターを持ち込むという。AERA 2024年5月20日号より。 【写真】蜷川実花が撮った!AERAの表紙を飾った草なぎ剛さんはこちら * * * 撮影場所に、草なぎ剛は音楽を纏いながら現れた。撮影中も、時にリズムに合わせ口ずさみ、静かに体を揺らす。草なぎの持つ穏やかで優しい雰囲気がじんわりと広がっていく。 聴いていたのは、「サヨナラCOLOR」。20年ほど前の曲だが、好きでよく聴いているのだという。何媒体もの取材を受けるこの日、ギターを手に現場入りした。 「僕、ブルースのギターマンになるのが夢なんで。どの現場にもギターは持っていきますね。なかなかうまくはならないですけれど、いつか扉が開くんじゃないか、と思って。いい切り替えにもなるし、時間があれば練習をしています」
取材中、「グルーヴ」という言葉を何度となく口にした。 「最近好きでよく使っている言葉です。音楽もお芝居も言ってみればグルーヴ、セッションじゃないですか。音楽にも、お芝居にも通じるところがあるなって」 近年では、トランスジェンダーを演じた映画「ミッドナイトスワン」で高い評価を受け、昨年から今年にかけてはNHK連続テレビ小説「ブギウギ」の羽鳥善一役で唯一無二の魅力を改めて印象づけた。5月17日公開の映画「碁盤斬り」では、時代劇の世界に当たり前のように存在していた。けれど、自身は「役者」という感覚はないのだという。 「お仕事を頂けるからやっている。そんな感覚です。『役者』って、なんなのだろうなと思いますね。僕は歌も歌いますし、YouTubeもやっている。自分はアイドルなのかなって思うこともある。なんだろうね、『役者です』って一つに絞ってしまうのも、なんだか寂しいなって」 様々な役柄のオファーを受けながら、自身を定義せず、軽やかに存在する。その姿がとても清々しい。(ライター・古谷ゆう子) ※AERA 2024年5月20日号
古谷ゆう子