ウェッジで「高く」、「柔らかく」打つための4つの「基本原則」とは?【解説「ザ・ゴルフィングマシーン」#108】
インパクトロフトを増やす
ここで「ダウンブロー」と言うと、フルショットなどの場合で言う「ロフトを立てる」イメージがつきまとって、ボールが上がらなくなる気がするのですが、ボールの高さはロフトで出していきます。 ここから「原則その2」として、「ハンドファーストになりすぎない」ことが重要になります。画像Aのタイガー・ウッズのバンカーショットのインパクトを見ると、インパクト時のシャフトはほぼ垂直になっており、両手はあまり先行していません。フルショットではインパクトロフトを立てることでエネルギーを増しているわけですが、この状況では「高く上がって飛ばない」ことが必要なので、これで良いわけです。 また同様にロフトを増やす「原則その3」として、「フェースを開く」というものもあります。フェースを開くことでロフトが増えることはもちろん、ヒール側からソール(バウンス)がやや斜めに地面にコンタクトすることでソフトに振り抜くことができます。せっかくダウンブローのヘッド軌道にしても、地面に強くぶつけすぎるとヘッドが弾んでアッパー軌道でインパクトをすれば、これもホームランの原因になります。
フォローはカット軌道で低く出す
そしてフォローにかけてのイメージは、「ヘッドを目標よりやや左方向(カット軌道)に、『低く』出していく」というのが「原則その4」です。 またこの低いフォローを実現するために、インパクト以降は左手首が背屈(甲側に折れる)するイメージがあって良いと言うのです。左手首が掌屈(てのひら側に曲がる)のイメージではやはりハンドファーストになってロフトが減りやすくなります。 ちなみにフルショットを、フックグリップ+掌屈で打っている選手は、こうしたショットでは注意が必要ということです。フックグリップはそもそもフェースを開いた形でグリップしているためフェースをそれ以上開きづらく、またハンドファーストになりやすい(ロフトが立つ)からです。
フェースを開く=シャンクしそうと感じる方へ
この原則1~4を守っていれば、ほぼホームランのリスクはなくなるので、あとはヘッドの入射角をどの程度スティープ(入射角マイナス5度前後)かシャロー(入射角マイナス1~2度)にするかで、高さもキャリーもコントロールできるというのです。 ここで問題になるのが、常々言われているこの「フェースを開いてカット軌道に」というワードを実践しようとすると、シャンクするイメージしか出ないという現象です。 そうしたクセのある人は、「フェースを開いてカット軌道」なんて言われれば、画像Cのようなイメージが出てしまって怖くてやってられなくなります。それでもボールは上げたいので、64°とか極端なロフトのウェッジを入れて、それを開かずに使うとエッジが地面に刺さることを怖れてバウンスも14度とかになり、それではエッジが浮いてホームランが出るのでやたらハンドファーストになるという「補填ループ」を描きます(経験済み)。 それで結果が良ければそれでも良いのですが、一応TPIで紹介された改善策もお伝えしておきます。 一つは極限までボールの近くに立つ練習をすることです。この状態で想定よりもヘッドがボールの外側を通る軌道になれば即シャンクになりますので、内側を通す意識になります。 もう一つは、ボールをかなり左足寄りに置いてフェースを開くことです。ボールが左にあるということはハンドファーストにしづらくなり、また自然とフェースは閉じてインパクトすることになります。またバウンスと地面の関係性、つまりどのようなときにバウンスが効いて、地面をこすりながらもスムースに振り抜けるのかという感覚も身についてきます。この練習は人工芝の環境でも充分に上達します。 フェースを開くのが苦手な方は、やはりフェース面の意識が強く、ソール側の形状やバウンス角によってインパクトがどのように変わるのかのイメージを持ちづらい方が多いように思います。ウェッジには本当に様々な形状がありますので、ボールを上手く打てたかだけではなく、「地面を擦ったときの感触」に着目して練習をされるのも良いでしょう。
大庭可南太