野村康太（撮影＝村上順一）

　俳優の野村康太が、映画『ただ、あなたを理解したい』（2月23日公開）に出演。鈴木昂秀演じる祐也の幼なじみ春樹を演じる。本作はダンス＆ボーカルグループ「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」の鈴木昂秀が映画初主演を務め、現実と夢、友情と愛に向き合いながら成長する若者たちの青春を描いた群像劇。インタビューでは、どのような気持ちで春樹を演じたのか、作品を通して感じたことや、野村が目標だと話す父・沢村一樹について話を聞いた。
【取材・撮影＝村上順一】 【写真】野村康太、撮り下ろしカット ■しっかり役に入れた ――野村さん演じる春樹は口数が少ない役なので、表情で勝負といった側面もありますが、実際演じてみていかがでしたか。 　出演が決まったときは嬉しい気持ちもありましたし、不安な気持ちもありました。台本をいただいて、登場はしているけどセリフはほぼなくて、どうやって春樹を演じようか考えました。表情や目線などで感情を伝えることを意識しながら演じていました。 ――春樹はどういう人物だと分析していますか。 　母親や親友の祐也を支えていたり、すごく心が温かいまっすぐな男の子だと思いました。自分の言葉で何かを伝えるのが得意ではなく、どちらかというと寄り添うことだったり、言葉とは違うところで表現するのが得意な男の子だと思っています。 ――撮影に入る前の準備はどんなことをされましたか。 　台本を読み込んだり、監督と話し合ってすり合わせるといった準備はしたんですけど、特別なことはしていなかったです。春樹にアプローチするにあたり、自分とは違ったものを作りこむというよりは、僕自身の性格の延長線上に春樹を置いてお芝居をする方向でやっていました。意外と自分の性格と近い部分、物静かなところとか自分に似ているなと思ったので、それを軸に準備をしていました。 ――監督からこういう風に演じてほしいといったリクエストはありましたか。 　常に感情の動きを大切にしてほしいと話してくださいました。春樹は本当に裕也のことが好きなので、特にその気持ちを大事にしてほしいとのことでした。 ――野村さんには祐也みたいな存在の方はいらっしゃいますか。 　はい。幼馴染みがいて、今もすごく仲がいいです。よくご飯に行ったり遊びに行ったりしています。気兼ねなくふざけ合える幼馴染なんです。 ――さて、祐也役の鈴木さんとは撮影中にどんなことをお話ししましたか。 　男性キャストは毎日一緒に旅館の大浴場に行って、他愛もないくだらない話などいろんな話をしていました。 ――お芝居のお話もされました？ 　お芝居の話はあまりしていなかったと思います。お芝居は現場でお互いがその場で感じたものを大事にしようという感じだったので、話すことの多くはプライベートの話題が多かったです。 ――その方が演じる時に親近感が湧きそうですね。 　特に今回は幼馴染の役だったので、距離を近くするという意味でも、ざっくばらんな話ができて良かったです。ただ、僕はすごく人見知りで、最初全然話せなかったのですが、昂秀君がたくさん話しかけてくださって、それがすごくありがたかったです。撮影が終わってからもプライベートでお会いして、食事に行ったりしました。 ――撮影で印象的だったことはどんなことがありましたか。 　車で移動中に昂秀君が音楽をかけて盛り上げてくれたのがすごく印象に残っています。僕は笑いが止まらなくなるくらいツボにハマってしまいました。 ――どういう盛り上げ方なんですか。 　音楽を爆音でかけて映画『ワイルド・スピード』のものまねをしていました（笑）。昂秀君は本当におもしろくて、笑いが絶えない時間でした。 ――その雰囲気は祐也に近い感じもありますね。さて、野村さんは今回の撮影を経て役者として感じたことは？ 　祐也と春樹が思いをぶつけあって、お互いの感情が昂るシーンがあるのですが、春樹として感情が動いたと感じられて、撮影後振り返ってみたときにも、しっかり役に入れていたなと思え、より役者、お芝居への想いが強くなりました。撮影当時はまだデビューして間もなかったのですが、手応えを感じていました。 ――この作品を観た人がどんなことを感じてもらえたら嬉しいですか。 　仲間や家族など自分を待ってくれている人を思い出してもらえたら嬉しいです。たとえばこの作品を見て故郷を懐かしく思ったり、映画を観終わった後に昔の友人に連絡してみたくなるなど、そういったことに繋がるような温かい作品になってくれたらと思います。 ■ 父の背中を見て育ってきた ――野村さんの役者としての目標はお父さまの沢村一樹さんを超えたい、と過去のインタビューでお話ししていましたが、お父さまからお芝居について教えてもらうことはありますか。 　具体的に演技はこうやった方がいいということはあまり言われないです。話してくれたことといえば、「自分の感性を大事にしながらやった方がいい 」と言ってもらったことはあります。 ――目標が身近にいらっしゃるので、学ぶことはすごく多いんじゃないんですか？ 　はい。小さい頃から父の背中をずっと見て育ってきたので、俳優としてはもちろん、父としてもすごく尊敬しています。父は本当に優しくてかっこいいんです。僕ら兄弟のこともすごく愛してくれますし、そういったところからも学ぶことはたくさんあります。 ――特にすごいなと感じているところはありますか。 　父はとにかくストイックなんです。常に家にいる時も何か考えていて、よく映画を観たり、日本の歴史を調べたりしている印象です。 ――目標を超えたと感じられる具体的なものはありますか。 　今は「沢村一樹の息子」と言われるのですが、父が「野村康太の父」と言われるぐらいになりたくて、いつの日か逆転したいと思っています！ （おわり） ヘアメイク　　SUGA NAKATA【GLEAM】　　 スタイリスト　能城 匠